著者は、これまで一環して観光社会学をテーマとして研究を行ってきており、その著者が出した初単著書として興味深い。
その名の通り、観光社会学という学問についての歩き方を、先行研究へのきめ細かい配慮、広い目くばせを行いながら紹介しており、良書といえるであろう。
特に、冒頭で紹介されている「旅する社会(Touring Society)における社会状況・文化状況」は観光社会学の分析枠組みを図でわかりやすく説明しており、まさに観光社会学という観光に発ちやすい配慮がなされている。これによって、これから観光社会学を見知りたい読者としてはスムーズに歩き始めることができる。内容も著者自身のフィールドワークを基として国内外の地域を事例として、著者の観光社会学の視点を提供している。
ただ、著者は社会学の理論的なバックグラウンドを重視しているせいか、やや強引に社会学の学的潮流を埋め込んでいる感があり、少しピンと気難いところもあるが、観光社会「学」の歩き方であるから致し方ない。
しかし、それをぬきにすれば、読み終わったあとには、著者がプロデュースした観光(著書)に読者が観光客となって観光(通読)した感も抱け、観光社会学という観光地を観光できた気がする。もちろん、著者の意図は、本を読んで観光社会学を観光した気になって終わらせるのではなく、「実際に現場にもいくこと」であることは、いうまでもないことであろう。