内容紹介
耽美的に描かれる、芸術家の愛と孤独と死
豪華な邸宅の中で繰り広げられる、画家と彼の庇護する青年への愛、そして死。
ドライヤーの耽美的側面と運命論的な指向が強烈に現れ、監督自ら重要な作品と認める傑作。
ドライヤーの無声映画の中でもとりわけ耽美的なこの作品は、芸術家の愛と死を主題とし、また原作小説にある明確な同性愛の主題も原作にかなり忠実に描いている。ドイツのスタジオで製作されたこの映画の映像は、1920年代半ばのドイツ映画の美的傾向を如実に示しており、室内場面を中心として進行する室内劇映画の特徴は、その後のドライヤー作品において決定的な役割を演じるものとなる。大きな彫刻や絵画、立派な家具調度品に囲まれた室内の空間は、この映画そのものをあたかも美術映画のようなものにすらしているともいえよう。
主人公の画家・クロード・ゾレを演ずるのはデンマークの映画監督ベンヤミン・クリステンセンである。このキャスティングはドライヤーの望んでいたものであった。初期のデンマーク映画史において重要な役割を演じたクリステンセンをドライヤーは尊敬しており、俳優でもあったクリステンセンを芸術家の役で使うことで、この役柄に要求される芸術家としての真実を明確にしようと試みた。見返るの役には当時は新進の俳優だったヴァルター・シュレザークを起用した。また、ノラ・グレゴールやグレーテ・モスハイムのような人気俳優も主演させている。さらにこの映画で撮影を行った名カメラマン、カール・フロイントが俳優として、画商の役で主演しているのは興味深い。
芸術家の愛と孤独と死を描いたこの映画は、ドライヤー自身が自分の作品の中でもとりわけ気に入っていた作品であり、ここには彼の耽美的側面と運命論的な指向が強烈に現れている。
内容(「キネマ旬報社」データベースより)
デンマークの作家、ヘアマン・バングの自伝的小説「ミカエル」を、カール・Th・ドライヤーが自身の趣向を織り込んで映画化。著名な画家・ゾレと、彼が養子に迎えた青年画家、美しき公爵夫人との三角関係を通して、人間の欲望と愛憎を描く。