線形計画法の画期的な解法が、インド出身の数学者の名をとってカーマーカー法と呼ばれている。「方程式の解法ないしはアルゴリズムが特許の対象になりうるか?」という問題を提起して、世界的な話題になった。この本は、今野浩先生の一般読者向け啓蒙書処女作とも言える著作ではなかろうか。この本の出版により、今野先生の語りの能力が出版界で注目されたはずである。その後、出版された金融工学関連の啓蒙書は、いずれもこうした期待を裏切らない佳作である。本書では、在外中にノーベル経済学賞受賞者クープマンスにボートの漕ぎ方を教わった、というエピソードが紹介されている(p.106)。学者としも最高の人生を堪能されたようである。それにしても、ダンツィク、カーマーカー、メギッド、シャノン等々、世の中にはため息の出るような天才・大秀才がいるものである。若い優秀な人には大いに励みになるだあろうが、若くはないレビュアーは我が身を省みて、慙愧の念を催すばかりである。