136分と決して短い作品ではないが、見始めると最後まで引きつけられてしまう素晴らしい作品である。
モノラル・モノクロでありながら、ワルター・ピアティゴルスキー・ルビンシュタイン・ハイフェッツ・
ストコフスキーなどの素晴らしい演奏が、想像を超えた、驚くほど高画質・高音質で視聴できる。
1947年の作品だから、当時敗戦直後の日本では何もかもが混乱していて、娯楽の映画など
考えられなかった時代だろうが、52年に日本で公開されたとき、この映画を見た日本人は
どのような感想を持ち、反応を示したであろうか。
これがアメリカなんだ! これこそアメリカだ! アメリカには無限の可能性がある!
こう思わせてしまうような映画であるように思う。
この作品は紳士・淑女が織り成す大人のドラマであるように思う。
と同時に、古きよきアメリカの姿をそのまま映し出してるのではないだろうか。
ワルター指揮の『ニュルンベルクのマイスターズィンガー』第1幕への前奏曲は実に堂々とした演奏だし、
何台ものハープの伴奏で歌うように奏でられるピアティゴルスキーの『白鳥』の美しさ!
ルビンシュタインも、ヨーロッパの貴族邸で演奏するときにはあれほど大袈裟に腕を動かさなかったであろうが、
やはりアメリカのカーネギー・ホールという舞台では、“見せる”演奏も不可欠であったのだろう
と想像させられる『火祭りの踊り』のパフォーマンス。ハイフェッツも同列で、チャイコフスキーの
ヴァイオリン協奏曲を、必ずしも楽譜に忠実に弾かず、しかし聴衆を魅了し尽くしてしまう。
美しく、魅力ある出演者たちにも好感が持てる。
キャスト紹介によれば、主演のマーシャ・ハントは1917年生まれで、2008年に最新作に出演しているとか。
存命なら、今年で95歳。ストコフスキーに並ぶことになり、超える可能性も十分だ。
DVDカタログも同封されているので、他の作品もいろいろと見てみたくなった。