あの『きょうの猫村さん』の主人公、働く猫の猫村ねこが、雑誌Casa BRUTUSに
出張して家事手伝いをする様子を描いた、『カーサの猫村さん』の単行本。
舞台は違っても、猫村さんの挙動一つ一つの可愛さと、作品全体のゆるいおかしさは
健在。猫が人に混じって働いている絵というのはやはりキテレツで…と言うよりも、
本家『きょうの猫村さん』が初期の「猫がなぜか喋り、歩き、エプロンを付けて家事
までする」という突拍子もない設定のインパクトを徐々に薄れさせつつある今、
猫村さんが新たに別の場所に飛び込んでいくことで、あらためて人間と一緒に働く猫
という光景の珍妙さと面白さに気付かされたと言うべきかも。
それに加えて、こちら『カーサの〜』では少ないコマ数で一つのお話のオチをしっかり
つけることが求められるからか、一コマあたりの密度がとても濃い。場つなぎのために
置かれたようなコマでなく、しっかりお話の一部分として機能し、それでいて当然肩肘
張って読み込まなければならないわけでもなく。これは『カーサの〜』の大きな長所だと
思う。また、猫村さん以外の登場人物、作中のCasa BRUTUSに勤める編集者の方々も
変てこで笑える人ばかりで、こういう人たちを描けるほしよりこさんという
漫画家さんが根本的に特異な作風の持ち主であり、猫村ねこというキャラクターの
誕生が単なるラッキーヒットではなく、作り手としてのセンスにしっかりと
根付いたものであったことを再確認させられもした。
こういう力を抜ききってにやにやしながら読める本というのはなかなかないものであると
私は思う。『きょうの猫村さん』ファンにも、新規の方にも、手にとって部屋でへらへら
笑って欲しいものです。