神話を題材とした新機軸の本作品も遂に10巻という大台に届いた。
新陳代謝の激しいラノベ業界においてこれは立派な記録であり、多くの読み手に支持されている証明だと思う。
本作品のいちファンとして非常に喜ばしいことで、レビューの趣旨にそぐわないとは知りつつも、まずは祝福を書き留めたい。
さて、今巻もまた主人公を始めとするカンピオーネたち、それを取り巻く登場人物や神々のドラマを堪能させていただいた。
個性際立つカンピオーネや神々の権能バトルも良いが、どこかユーモラスでクセのある登場人物たちが世界的なスケールで活劇し暗躍する様が
非常に読み応えがあるうえ、冗長さを感じさせない程度に凝縮されている。一言で言うと面白かった。
展開は前巻の流れを引き継いだ内容で、戦神ランスロットや魔女王グィネヴィアとの呉越同舟な交流、先輩カンピオーネ・アレクと護堂の会話や権能バトル、
ある意味メインヒロインなあのお方の再登場等々、見所は多い。
主人公の護堂も言動の端々にカンピオーネとしての風格を纏いつつあり、権能を十全に使いこなして神々や先輩カンピオーネと堂々と渡り合うなど、
物語前半の頃と比べ成長を感じさせる。
反面、成長の弊害として、ウルスラグナの権能と天叢雲剣のコラボが万能すぎてもはや「なんでもあり」な印象が強くなってきたため、
駆け引きが楽しい権能バトルがパワープレイ上等の大味な展開に今後なりかねない、という危惧を感じた。
勝利や成長を読み手が実感できるように護堂の権能は増やしていって欲しいが、その結果パワープレイとそれに伴う緊迫感の欠如や戦闘のワンパターン化を
許すようになってしまっては物語(のバトル要素)がつまらなくなる。
二律背反な希望であるが、そのあたりのバランスを今後も上手に舵取ってくれることを作者の力量に期待したい。
本作品は主人公最強な厨二病かつハーレム展開の多い作品ではあるが、ラノベではありがちなそれらの要素に食傷していたり、
軽薄さや安っぽさを感じて敬遠している方にもお勧めできる。
そうした要素が鼻につく展開が多いことは事実だが、それだけでは語れない面白さが充実しているのもまた事実なのだから。