初めて観たのは、今から二十年も前だったでしょうか。疑心暗鬼に囚われ、精神が壊れてしまった主人公の姿を捉えたラストシーンをはじめ、非常に強いインパクトを受け、また、怖い思いをした記憶が残っています。今回久しぶりに観て、主人公の盗聴屋が発散している疎外感、孤独感は、現代社会において、ますますその度合いを強めているのではないかと、そう思いました。
1970年代前半のサンフランシスコを舞台に、プロの盗聴屋ハリー・コール(ジーン・ハックマン)が依頼された盗聴の仕事に深入りしてしていくうちに、精神に変調をきたし、破滅していくという、おおよそ、そういう話です。仕事に対してプロ意識をむき出しにする生真面目な主人公。他人とうまくコミュニケートすることができずに苦しむ様子が、ジーン・ハックマンの演技によってぴしぴしと伝わってきて、見ていてかなりつらかった。
デヴィッド・シャイアの音楽も、主人公の孤独な心境を増幅するものでしたね。本作品と同じ1974年に彼が担当した映画『サブウェイ・パニック』とは味わいは全く違うけれど、やはり印象に残るものだったな。
ジーン・ハックマン以外のキャストでは、主人公に仕事を依頼した会社専務の秘書を演じた若き日のハリソン・フォード。鋭い眼光で主人公を見据えるなど、自分の利益のためにはあえて非情な手段をとることを辞さない冷徹な若者を演じて、キラリと光っていました。
特典映像のなかでは、本映画を撮っているコッポラ監督の姿とそのコメントを紹介した「メイキング 監督の視点」が興味深かったです。