06年04月の単行本を文庫化した作品になります.
学生側と学校側のカンニング合戦を描く『コンゲーム小説』という事になっていますが,
多くのカンニンググッズが登場する割に,それらの準備や具体的に使われる場面は少なく,
『カンニング少女』の内面が描かれるばかりで,緊張の騙し合い…という点で物足りません.
そのため,どちらかと言えば少女を中心とした学生たちの友情,青春の物語といった印象です.
ただ,少女がカンニングを行う動機はともかく,理由についてはかなり無理を感じますし,
終盤になり少女が真実に気付く場面にしても,あまりに不自然な流れでしらけてしまいます.
個性的なメンツのカンニング仲間たちも,その『特徴』を生かし切れているとは思えませんし,
不正を目の敵にする人物も,ワケアリのように描いておきながら消化不良で終わるのが不満です.
ほかにも,真実に絡むちょっとミステリっぽい『トリック』も,強引な流れのおかげで今ひとつ….
学生たちの明るいノリは読みやすく,終盤から結末へのキレイな流れはよい読後感がありますが,
実際にはいろいろと違和感の残る内容で,せめて終盤だけでも丁寧に畳んでほしかったところです.