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カントの人間学 (講談社現代新書)
 
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カントの人間学 (講談社現代新書) [新書]

中島 義道
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

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   哲学博士である中島義道は、話題を呼んだ『うるさい日本の私』の著者でもある。本書はあまりに高名な18世紀ドイツの哲学者カントの人生と、その人生観に焦点を定めた入門書。読者は「エゴイズムについて」「容貌について」といった問いかけや、カントの生涯と人生観を通して、人間性というものをとらえなおしていくことになる。なお、ここで語られるカントは、既存のイメージのような崇高かつ高潔な哲人ではない。したたかで、時には友人を遠ざけてしまうほどに、人間に対する意地悪と言っていいほどの厳しい視点を持った人間である。

   そのせいか著者もカントの意向に沿うかのように、「虚栄心について」の章では、だれもが自分には無いと信じたい「嫉妬」という感情に焦点を当てる。大学教授とその同僚のたとえ話により、羨望と嫉妬の違いや虚栄心の働きを嫌になるほどわかりやすく説明した部分には、苦笑しつつもなずくしかない。このように本書では、いわゆる「親切」や「友情」の欺瞞性や「男性にとっての(自らの)容貌」といった、普段は暗黙の了解のうちに語らずに済ませているテーマに、光を当ててしまう場面が頻繁に見られ、いっそ痛快ですらある。

   著者はカントへの共感を決して全面には出さず、冷静に筆を進めている。しかし読んでいくうちに、他者との関係性を時には冷酷に突き詰めたカントと、後に自分と周囲の環境との軋轢を露悪的なまでに大胆に描写することとなる著者の姿とが、重なって見えてくる。その意味で、本書は新観点からのカント論というだけではなく、著者の一連の評論やエッセイの原点とも言えよう。(工藤 渉)

出版社/著者からの内容紹介

エゴイズム、親切、友情、虚栄心……人間の「姿」はいかなるものか。複雑で矛盾に満ちた存在を描き出すカントの眼差しに拠り、人間の有り様の不思議を考える。

無邪気は道徳的ではない――3歳の子供はカントの目からすれば断じて道徳的ではない。それは積極的に悪をなさないが、善をもなさないのである。まったく同じ理由により、性器を切除したために性欲に支配されなくなった男は、性欲を克服したのではない。修道院内に軟禁されている少女たちは、男遊びや飲酒や喫煙に対する欲望を克服したのではない。外形的、物理的にさまざまな欲望を除去あるいは遠ざけあるいは消去することは、いわば幼児の状態を再現することであり、決して真の意味での欲望の克服ではなく、よってこうした状況のもとにおける行為は断じて道徳的ではないのである。道徳的善は、結局自愛に行き着くさまざまな感情の傾きを物理的に抹殺ないし隔離してではなく、こうした多様な感情の傾きを徹底的にくぐり抜けて達成される。――本書より


登録情報

  • 新書: 230ページ
  • 出版社: 講談社 (1997/12/18)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4061493833
  • ISBN-13: 978-4061493834
  • 発売日: 1997/12/18
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.8 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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最も参考になったカスタマーレビュー
16 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 石岡岩石 VINE™ メンバー
形式:新書
 この本は、カントの生き方や人柄を、まるで当時付き合いのあった人のように解説してくれていて、純粋理性批判を始めとする難解なカント哲学の理解を深めるのにとても良い参考書だと思います。カントは、自分自身を含めて、多様で矛盾に満ちている日常の個的人間の中に、人間としての一番本質的なものが隠されていることを見抜き、先ず第一にそれを直視して取り出すことに関心があったのでしょう。そして取り出したものが確かのものなのかどうか、考えられる限りの方法で吟味したのでしょう。この吟味が尋常でないところがものすごいと思うのですが、そのものすごさを支えていたものはこの第一の関心を直視するカントの生き方にあったのだと理解しました。

 この本では、本質的なものの取り出し例として、エゴイズム、親切、友情、虚栄心、についてカントの言説を引用しつつ説明をしてくれています。また、カントがどのような人柄であったのかについては、当時交流のあった人の書き残したものなどを引用して説明してくれています。何れも、カント研究者としての著者の知識を背景にした意味深いものに感ぜられ、またカントに対する敬愛がついつい溢れでていて楽しく読み続けることが出来ました。
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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Moral Minority VINE™ メンバー
形式:新書
書名の通り、カントの中で有名な倫理学や認識論ではなく友情論などの人間学に光をあてた本・・・というわけではなく、どちらかというとカントの個人的な人間性に光をあてた本と説明するのが適切である。

カントは友人との付き合い方が冷淡だったとか、カントの顔は不細工だったとか、彼は若い頃極貧で苦労したのでそれが哲学にも現れているとか、熱烈に彼を支持する若者の手紙を無視し続けたエピソードだとか、結婚した事も赤ん坊を育てた事もないのに知識だけで子育てを尋常じゃないほど生き生き語っていて笑えるとか、そんな話の塊である。が、これが非常に読んでいて面白い。お硬い哲学書などには書いていない知らないエピソードばかりだったのでカントの新しい側面がかいま見れて有意義だった。特に子育てのエピソードが印象的でツボにはまった。とはいえ「カントって誰」とか「カントの個人的な性格なんてどうでもいいよ」という人にはとことんどうでもいい本であろう事は言うまでもない。まぁそもそも、そんな人は本書を手に取ったりもしないだろうが。

伝記などでは全然ないのだが、紹介されるエピソードが幼少のものから死の時まで揃っているので全部読むと結果的にカントの生涯を一から十まで知ったような気になる。その意味では少し評伝的でもあるのかもしれない。カントの人間学というより、他の方も言うように「人間カントについて」の本。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
中島流 2012/4/22
形式:新書
カント王道のアプリオリな部分ではない、アポステオリな具体的な人間分析からのカント論。
カントの友情論の危うさなどの問題点の分析は鋭い。
しかし、あくまで中島の関心領域からのカント像であって、実際のカント哲学とは違うことは確かめいただきたい。
著者のパーソナリティから来る病的な、周囲から外れてて何が悪いという自己肯定に、 カントを使用していて、著者のあらゆる本と一緒で哲学ではない。
エッセイではあるが、むしろ著者の特質、本質が出てると言うことで、興味ある方には必携である。
カントはあくまでダシである。
確かにカントには厳格主義はあるが、著者のもくろむような人間の逃れられない悪との対決というのも違うのは明らかだ。
プロティスタンティズム式近代的内面主義的な知の流れに棹を差していたということだろう。
メタとしての当為とオブジェクトレベルの事実の厳密な分離に近代哲学の秘密があると見るべきで、
現実には著者の言うように引けるはずのないところの無理な線引きせざるをえないところ、その捏造の病が真の問題だろう。
そこに著者のような一般人こそ善人気取りの悪人だと喚いたところで意味はない。
カントもさもしいろくでもない人間だと言い立てるとき、その病的構図がかえって補完され、カントが勝利してしまうではないか。

そういう個人主義によるサブジェクト化、近代合理主義システムの病こそが射程にいれるべきである。 言葉の物でやったフーコーの人間学のシステムといった。
その抑圧の構造をこそ問題にすべきで、カントの罠にとらわれてしまっている。
それは中島氏本人が何より望んだことだからカントなどやっているのではあるが。復讐として。
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投稿日: 2003/2/22
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