パゾリーニ「生の三部作」を見た。
デカメロン(1971:ベルリン銀熊賞)、カンタベリー物語(1972:ベルリン金熊賞)、
アラビアンナイト(1974:カンヌ審査員特別賞)の古典オムニバス作品である。
あまりにインパクトが強く、これらに続く「ソドムの市」や自らの撲殺を予感させる。
遡ること20年、1953年に溝口健二監督が上田秋成の「雨月物語」をオムニバスで撮り、
ベルリン銀獅子賞を獲得した。イタリア人は果して今の私と同じような衝撃を受けただろうか。
パゾリーニも溝口作品を見て、この古典3部作の映画化を思いついたと言うのは考えすぎか?
さて、カンタベリー物語は英国カンタベリー、デカメロンはナポリというだけあって、
そこに漂う空気は後者が明るく、本作品は寒々しい。また庶民を描いた2作品に対して、
アラビアンナイトは身分の高い女性が登場し全般に美しく、空気はカラッとしている。
ストーリーがまだ一番受け入れやすいのはアラビアンナイトで、このカンタベリー物語が
一番おぞましい。特に最後の地獄絵巻はその極致で圧巻である。ひょっとして「大日本人」の
松本一志はパゾリーニのような映画を創りたいのではないかと考えたりした。
恐らく圧倒的に支持する人も多いと思うが、私には馴染まず星3つにさせて頂いた。
カンタベリー物語は雰囲気、色彩、一人ひとりの所作等を見ていると、ブルーデルの絵画を
動画で見ているような気がしてくる。
それにしても出演者の歯の悪さには驚く。パゾリーニは、歯の悪さを基準に、出演者を素人の
中からセレクトしたに相違ない。