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瀕死の日産を過去最高の黒字へと導いた男、カルロス・ゴーン。本書は、約2年前に刊行された
『ルネッサンス─再生への挑戦』の姉妹書ともいうべき内容で、カルロス・ゴーンの青年時代からミシュラン、ルノー、日産までのキャリアの記録がつづられている。『ルネッサンス』と異なるのは、経済ジャーナリスト、フィリップ・リエスが第三者的な視点からゴーンの語りをフォローし、よりつっこんだ内容にまで高めている点。このフォローにより、たとえばルノーの「200億フランのコスト削減計画」発表時の反省が、事前の情報の漏れを防ぎ、一気に再建計画の全容を明らかにした「日産リバイバル・プラン」の表明につながったなどという経験の連鎖が、より鮮明に見えるようになっている。
また本書には、『ルネッサンス』以降の話もふんだんに盛り込まれている。日本独自の慣習をプラスに評価し、無理に変えなかったことが再生の秘訣だったというゴーン本人の述懐や、フェアレディZの復活に代表される新車の開発、環境問題に関するスタンスなど、前著では触れられなかった内容も数多い。
しかし、本書の真髄は、ルノーと日産のアライアンスのあり方に代表される、今までのM&A(合併と買収)にはない方法論を明らかにしている点であろう。カルロス・ゴーンに関する類書でも触れられているが、2社の補完的な関係は、20世紀型の企業合併や買収とは視点が異なる。お互いに成功を目指す、ひところ流行った言葉でいうところの“Win-Winの関係”は、ともすれば理想論にも聞こえるかもしれない。しかし、この提携により目指すところをゴーン自らの言葉で明確にしている点が、本書の魅力のひとつだといえよう。
本書を読むにあたっては、「日産リバイバル・プラン」や「クロス・ファンクション」などといったゴーンの経営に関するキーワードについて、断片的にでも知っていた方が読みやすい。ゴーンの人生そのものに興味がある人だけではなく、報道されてきた、ルノーと日産の提携に関する一連の話題を、ゴーンの視点で改めて総括したいという人におすすめしたい本である。(朝倉真弓)
内容(「BOOK」データベースより)
“経営”とは“実践”であって“学問”ではない。企業とは物ではない、数字の総計でもない、現場に出かけるところから“改革”は始まる。ゴーン流経営哲学のすべてがここに。