また本書には、『ルネッサンス』以降の話もふんだんに盛り込まれている。日本独自の慣習をプラスに評価し、無理に変えなかったことが再生の秘訣だったというゴーン本人の述懐や、フェアレディZの復活に代表される新車の開発、環境問題に関するスタンスなど、前著では触れられなかった内容も数多い。
しかし、本書の真髄は、ルノーと日産のアライアンスのあり方に代表される、今までのM&A(合併と買収)にはない方法論を明らかにしている点であろう。カルロス・ゴーンに関する類書でも触れられているが、2社の補完的な関係は、20世紀型の企業合併や買収とは視点が異なる。お互いに成功を目指す、ひところ流行った言葉でいうところの“Win-Winの関係”は、ともすれば理想論にも聞こえるかもしれない。しかし、この提携により目指すところをゴーン自らの言葉で明確にしている点が、本書の魅力のひとつだといえよう。
本書を読むにあたっては、「日産リバイバル・プラン」や「クロス・ファンクション」などといったゴーンの経営に関するキーワードについて、断片的にでも知っていた方が読みやすい。ゴーンの人生そのものに興味がある人だけではなく、報道されてきた、ルノーと日産の提携に関する一連の話題を、ゴーンの視点で改めて総括したいという人におすすめしたい本である。(朝倉真弓)
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昨今、経済誌でカルロス・ゴ!ーン氏の名前が出てこないものはない。「ルネッサンス」を含め、氏の手の内はほとんど明かされたのではないか、と思っていたが、本書を読んでまだまだ学ぶものは多いと感じた。
原題はCitoyen du Monde
Citoyenは市民、国民
Mondeは世界、社会
まさにカルロス・ゴーン氏にふさわしい言葉だと思った。
長い間不振にあえぐ日本企業の経営者の多くは、今の業績の悪さに目を
奪われてしまっているためか、これまで数十年にわたって世界を相手に
事業を成功させてきた実力が自社の中に蓄積されているということが認識できておらず、ただ後ろ向きな施策しか打ち出せていないように見える。ゴーンは資本参加したルノーから送り込まれた「改革屋」という立場でありながら、この点を見抜き、日産に蓄積された強みや力を活かすことに最大の利点を置いた上で、外部の視点からダメな部分を改革していくというスタンスをとった。一番関心させられるのは(それがまさに彼が地球市民であるという所以だろうが)日本の社員の「カルチャー」を重んじたという点である。ゴーン自身、納得のいかない部分も多いと述べているし、通常、こうした沈滞した企業を改革しようとする場合、まず文化から変えていこうと押し付けてしまうものだが、ゴーンは全く反対のことをした。改革を成功させるためには従業員のモチベーションを高く保つことが最も必要であり、カルチャーを頭ごなしに否定しては、モチベーションを保つことはできないと考えたという。
日本の会社の状態に関する認識、そしてその再生に対する方法論、これからまさに産業再生という大きな課題に立ち向かわなくてはならない我々読者に大きなヒントを与えてくれる。
レバノンで育ち、フランスで学び、日本へやって来た
超エリート国際人です。 アジアという異文化での進出は
また彼に試練を与えました。 次は対中貿易を成功させることが
今後の課題ですが、どうなることでしょうか。
継続して世界と貿易をしなければならない日本の一つのモデル
として参考になること間違いなしです。
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