ヒンズー教の巨人ヴィヴェーカーナンダのアメリカにおける一連の講演を集めたもの。人格の向上のためには1)知識(哲学)による2)愛による3)宗教的鍛錬による4)仕事によるの4つの方法(ヨーガ)があり、どの方法でも人はゴールに達するとしている。カルマ・ヨーガは4)のことで、哲学的・宗教的知識がまったくなくても、たとえば日々の仕事を結果を気にせずに、ひたすらおこなうことよって、人間はついには何ものにも縛られない(奴隷ではない)真の自由な存在になるとしている。仕事をする時に、それが自分のためになるであろうという期待が込められているうちは、まだ、その期待に自らは縛られており自由ではない。そもそも自分のためという意識があるということは、これは自分のものであるという所有感があるということ(この場合、自ら行った仕事の結果は自分のものであるという意識が働く。所有感が利己心につながる)。著者は、人間というものには、たとえそれが自分の妻や子供であっても、それが自分のものであると言えるようなものは何もないと説く。すべては自然(神)に所属し、なにものも一個人などには所属しない。このように、個々の人間は、今までの先人の積み重ねの上にはじめて立つ、なにものも所有しえない小さな存在だが、そうした小さな個人格に縛られずに、大きな自然(宇宙・神)と一体化して自らが神であるといえるほどの境地に達する方法がヨーガ。カルマ・ヨーガでは、職には貴賎などなく、人は善事を積み重ねていくことによってよい性格が形成されていくする。たとえば、主婦が報いを期待せず日々家庭のために自分の努めを果たすように働き、結果に執着することなく(自分の子供に自分の与えたもののお返しを求めない)そして慈善を与える機会を与えてくれたことに対して感謝すれば、大きな境地(無執着=魂の自由を獲得する)に達することができるとしており、一般人が現実に日々の生活で自らを向上させていく指針になる本。