舞台は十九世紀の末、1898年になりますか
アジアでは清国で戊戌の政変があり西太后が実権掌握した年です。
日本で言えば四年ほど前の1894年に日清戦争がありました。
ヨーロッパ列強各国が植民地争奪戦で世界のほとんどの地域を植民地化する事に成功し。
最後に残された東アジア、中国や日本に狙いを定め始めた時代の事
20世紀初頭の二度の世界大戦に続く状況が出来上がりつつある世界情勢と、実に魅力のある時代背景ですね。
物語は、主人公のジョーこと、ジョセフィン・アッテンボローは、新聞記者を務める十七歳の少女
トラブルメーカーで姿を消していた元下院議員のジェラードが美しい中国人の妻と共にジョーの前に現れた
その直後、旧友のウルム伯爵が謀略によりカルパチア山中の城塞に幽閉されたから救ってくれと、伯爵の子息イオンより依頼が来た事から始まります。
イオンの依頼を受けたジェラードは妻と娘のジョー、その同僚のアランと共にオーストリア・ハンガリー二重帝国に赴く。
そこで待ちうけていたのは、帝国のノイマン中佐であった。
ウルム伯爵の友人・ルカーチ氏の支援を受けて伯爵救出に乗り出すジェラード達だったが、その動きに対してノイマン中佐はユダヤ人トレビッチをスパイとして送り込む。
そんな時、ルカーチ氏の美しい妻に何やら怪しい気配が。
このようにして物語が進んでいきますが、それを型破りの政治家のジェラードに同じく型破りの軍人のノイマン中佐と田中芳樹氏が好きなキャラクターが物語を盛り上げてくれます。
彼らに振り回されるジョーに、それを暖かく支えるアラン
そして狡すからいユダヤ人トレビッチと、物語は実に多彩な人たちで彩られている。
田中芳樹氏の作品の中でも面白い作品だったと思います
惜しい事は、最近の田中氏の作品は次第に魅力が無くなったことですか。
この作品くらいの完成度を続けてほしかったです