過激派とカルト宗教。方向性は違うかもしれないが、批判を許さない観念を内在しているところはどこか通底している。カルト宗教の中での出来事と過激派の論理とを並列に並べて比較することができるのは、過激派に所属したことのある筆者ならではであろう。特に、過激派の総括と宗教での葛藤の比較や、構成員の質の違いの記述は興味深い。
ただ、筆者がオウムに近づく伏線なのかもしれないが、だらだらとブログのように単なる思いを書き連ねている部分が全量の半分近くを占め、しかも記されている思いの方向性が、今ひとつ明らかでない。そのため本書はあくまで「筆者がオウムに対して思ったこと」を記したものとして読まれるべきであって、カルトに関して知りたいと思って読むと内容が薄い印象を受けるだろう。
また、校正不足なのかもしれないが基本的な誤字脱字が非常に多いのが気になる。一度気になってしまうと、筆者独特のテンポのよい文章が台無しになってしまう。出版社の問題かもしれないが、本作りの詰めが今ひとつ甘いように思う。