素人目では、現代美術の世界で村上隆さんばりに物議を醸す人である会田誠さんの初エッセー集。めちゃめちゃおもしろい。倒錯した性的世界(鬼畜系)や戦争賛美的世界を描いて奇妙に観る者を揺さぶる画家が描きそうな内容もあり、まったく描きそうでない内容もあるのがすばらしい。そして内容が何であっても(家族であろうが、田舎であろうが、美少女であろうが)結局は現代美術の話になっていきます。根は真面目なのだ。
すべてを貫いているのは「アンチ」の姿勢。「アンチ」は自分がアンチであるために対抗すべき主流派の強固さを求めてしまうのですが(トラキチが強いジャンアンツを必要とするようなもの)、だからこそ自分の存在自体が矛盾だらけなのを笑い飛ばす余裕がいい。個人的な成長史(なぜ画家になったか)などは、笑わせるし、泣かせるし、読ませます。(会田誠にかかれば、マルクスとエロ画が出会ってしまうのですから)
タイトルが梁塵秘抄のもじりってところもなにげに知的です。目くじらたてずに笑って過ごしたい方、そうはいってもテレビをジャックしているくだらない笑いで笑わされることには耐えられない方にお勧めです。