戦争の見方というのは、国によっても人によっても時間によっても変わりうる極めて流動的なものだ。一般的な「戦争はダメ」という単純明快な定義は、ただ戦争という現実から目を背けているだけであるような気がする。
カラーで多くの写真が掲載されており、その写真を撮った筆者自身が著している本書は、大変貴重な戦争の記録と言うことができると思う。写真も悲惨な現状だけを写しているのではなく、様々な側面から読者が考えることができるように、アメリカ側、ベトナム側の双方の現実を写していた。
しかし、本書をベトナム戦争を知るための導入の書とするには、やや写真家である筆者の文章力や、戦争の客観的な観察の不足は否めない。もしベトナム戦争が何であったか、という記述を求めているならば他の本をあたると良いだろう。