表題のとおり、「楽器から見るオーケストラの世界」でした。楽器の配置の基本形を示した後、ヴィヴァルディ以降の作曲家の代表曲を取り上げ、それの楽器編成を示しています。
例えば「モーツァルトの編成」では「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を紹介し、この弦楽5部合奏の魅力や楽譜の例示、低音楽器の効果的な使用などを解説していました。ただ、モーツァルトも様々な編成の曲を生み出しましたし、交響曲によっても編成が当然異なりますので、作曲家名別の類型の方法は必ずしも妥当とは言えないでしょう。
コラムは充実していました。「ベルリオーズがオーケストラに導入した楽器たち」は実に不思議な形状をしています。浜松市楽器博物館でもこれらの楽器の一部を拝見しましたが、楽器の世界も試行錯誤、流行り廃れがあるのでしょう。
また世界のオーケストラ別の楽器の紹介の中で、エーラー式クラリネットがバロック式リコーダーと同じ伝統的な指使いの「ファ」の運指をしていることを初めて知りました。奥深いですね。
またイギリスのオーケストラがB管トランペットを使用していることは流石に伝統的なブラスバンドの国ならではのものだと思いました。C管トランペットの輝かしさとはまた別の豊かな響きを持っていますので。
筆者の佐伯 茂樹さんは、東京藝術大学大学院講師で、東京ヒストリカルブラスを主宰している方です。
本書の内容の一部です。
序章 オーケストラを知るために(オーケストラとは? 現代の標準配置 現代型対向配置 ほか)
第1章 名曲の編成からオーケストラの歴史を知ろう(ヴィヴァルディの編成 協奏曲集『和声と創意の試み』'春 バッハの編成 ほか)
第2章 世界のオーケストラを知ろう(第二次大戦を境にグローバル化した世界各地のオーケストラ 世界のオーケストラ ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ほか)