訳書三巻シリーズのうち、もっとも面白いのが本巻である。細胞や遺伝子の知識の応用篇だから、新鮮なトピックが多い。
特に第16章「発生における特異的遺伝子発現」と第17章「発生と進化による変化」は現代の生物学でもっともホットな分野となっている「エボ・デボ(進化発生学)」の解説であり、「エコ・デボ(生態進化発生学)」を提唱しているGilbert & Epelの「Ecological Developmental Biology」(2012年「生態進化発生学」として訳本が出版されました)から取られた図も多い。発生学も生態学も遺伝子と進化の観点から説明できる時代になったのだなあと感慨深いものがあった。第14章「分子生物学、ゲノムプロジェクト、医学」の「ヒトゲノムの塩基配列から驚愕の事実が多数明らかになった」(訳書p.202)も見事な要約。
英語が多少読める読者にはLIFEのほかの章(第9版の英語版第2巻や第3巻)や前述のGilbertの本(訳本2012年)、ニュスライン・フォルハルトが一般読者のために書いたペーパーバック「Coming to Life」をお薦めする。