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10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
悪魔は人に似せて創られた,
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レビュー対象商品: カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫) (文庫)
「父親殺しを願望するだけで罪になるか?」の問いはそのまま「神殺しを願望するだけで罪になるか?」の物語全体に通底する命題を炙りだす。 「異教徒に捕まり改宗を迫られ拷問された際、狂おしく祈り助けを求めても自分の叫びでは山 ひとつ動かなかったのにそれでも神への信仰を保ち続けていられるか?」 一巻でスメルジャコフが発した問いにイラクの拉致事件を連想した。 イワンは思想の中で神を否定した。 転じてそれはキリスト教を奉ずる人類の父たるイエス・キリストの否定へと繋がり、 現実の父殺しと呼応しながら次第に狂気じみた様相を呈していく。 父フョードルは滑稽かつ下劣な言動で人々の嘲笑を買う道化であると同時に、 とどまるところをしらない旺盛な生命力と強烈な存在感でもってカラマーゾフ三兄弟の上に君臨し、 三兄弟の思想・人格形成に多大な影響力を持ち得た通俗の神であった。 現実の父を殺したのはだれか? 信仰上の父を殺したのは? 二つの問いが互いに絡み合いながら行き着く答えとは? 思想の中で神たる父を殺したイワンが、現実の父殺しの犯人もまた自分ではと懊悩する場面は 息詰まる緊迫感を生み読者を引き込む。 人的に気になったのは、カラマーゾフ家の他の面々やホフラコーワ夫人や警察関係者などささやかな 脇役にいたるまで詳細な外見描写があったのに、主要登場人物である次兄イワンの容姿の記述だけ まったく見当たらなかった点だ。 穿ちすぎな見解かもしれないが、作中イワン自身が 「もし悪魔が存在しないとすれば、つまり、人間が創りだしたのだとしたら、人間は自分の姿かたちに似せて悪魔を作ったんだと思うよ」 と発言したことを踏まえれば、否定する霊(=メフィストフェレス即ち誘惑する悪魔)になぞえられたイワンの外見描写だけが省かれていたのは 「悪魔はだれもに似ているからして特定の顔を持ってない」という作者のメッセージともとれて興味深い。
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
お値段分の価値,
By ぱぱり (埼玉県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫) (文庫)
分厚い4巻である。翻訳した亀山氏の意図によりこの巻はこの厚さ、この値段になった。 ほとんどがドミートリーの裁判で、文学でありつつ法廷小説としても非常に面白い部分であるから、この値段にも納得できる・・かな(笑 全巻が出揃ったあとだから言うが、初版よりも3版、4版になったころに買い求めるのが得策かと思う。 なぜなら初版での誤字誤訳が改訂されるであろうから。 このごくわずかな瑕疵で、今回の翻訳の偉業を貶めようとはさらさら思わないのだが、大事なことなので書いておいた。
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
イワンとスメルジャコフの成り行きに驚いた,
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レビュー対象商品: カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫) (文庫)
これが初めて読む本ではないのに、特に前半はまるで今までに一度も読んだことがないかのようにワクワクと読んだ。 イワンの行動と変化には本当に驚いたし、スメルジャコフの役回りにも本当に驚いた。 二人の末がいずれも悲惨だったので、その章を読み終えた時は、 しばらく何もしたくなくなってボーっとしてしまったくらいだった。 3巻で長男の物語が息もつかぬ勢いで進んできた後だったから、 イワンの内面に話しが進んでいって、しかもスメルジャコフが絡んでくるので、 読んでいてとてもドラマティックな展開となり、 だからこそワクワクもし、終末には大きな驚きを覚えたのだと思う。 審判が始まってからはむしろ変化がなく、 検察と弁護人のスピーチは、それまでに既に読んできた内容の重複だったので、 少し間延びした感じがぬぐえず、読む楽しみも減ってしまって、 読み終わるのに時間がかかってしまった。 登場人物の紹介が中心だった1巻、哲学的・宗教的考察が中心だった2巻、 話しが急展開して物語自体がグンと面白さを増した3巻、 どれもとても大きな存在だったけれど、 この4巻も2巻と3巻が終結を向かえる大きな存在だと思う。
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