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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
人生の教科書,
By Gilles De Rays (東京都八王子市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: カラマーゾフの兄弟〈中〉 (新潮文庫) (文庫)
私たち人間の人生には少なくとも一度ぐらいは悩み貫かなければならないときが来る。アリョーシャの場合、それがゾシマ長老の死、そしてその後の悲惨な事態だった。 そんなとき、人間は今までの信仰、理念を疑ってしまう。しかし、それには何らかの意味があるはずだ。 それを見つけたとき、私たちはその苦悩から解放される。 そのようなことがこの傑作の中巻から感じた。 さらにこの巻は物語の最重要場面でもある下巻の裁判へと繋がっていく。 この中巻が最もアリョーシャ視点で書かれているため、その多感なものの見方が非常に面白かった。 上巻は読むのに時間を要するが、中・下巻はどんどんと頭の中に入れたくなる展開が詰まっている。 上巻でリタイアしてしまった方はそこまで読んでしまったら、あとは楽なのでぜひ再チャレンジしていただきたい。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「神」と「悪魔」の狭間に・・・,
By
レビュー対象商品: カラマーゾフの兄弟〈中〉 (新潮文庫) (文庫)
(上巻のレビューから続く)そしてこの小説の「恐ろしさ」についてである。「哲学」というものは、自分の内面から湧き出てくる感情(愛情とか憎悪などのあらゆる感情)の源泉について、重ねて自らの内面に「質問する」ことによって織り成されると思う。けれど、質問というのは恐ろしいものだ。予期せぬものが起き上がってくる。この小説では、多くの登場人物が、自律的か否かによらず、この「質問」を自らに突きつけねばならなくなる。恐ろしいものが徐々に起き上がり、それを認識してゆく過程が描かれる。 登場人物たちは、この「質問」と「考察」を自らのモノローグだけでなく、他者との会話を行うことでも深く掘り下げていくが、その際、しばしば「鳥肌のたつ」ように恐ろしい瞬間が読み手を襲う。ものすごく深い絶対触れてはいけない核心のようなものが、ふと垣間見える。・・そして「狂」の存在。この小説では、「狂」とその認識についても語られていると思うが、「狂」とは、自分の中の「一種類の根源的な感情」のみによって行動論理が縛られる状態にあることを指すのではないだろうか。つまり誰でも瞬間には狂たりえるのだ。 「狂」は何も無知によって引き起こされるとは限らない。場合によっては、深く自己の内面について思索し、探求した結果、その領域に至ることもある。そこで善なるものが聴こえるはずだというのはカント的だろうか。しかし、それは外面的には「狂」となるかもしれない。この小説は、そんな恐怖を実地検分する怖さがある。登場人物たちが自己を探求するとき(そのようなシーンはしばしばあるが)自分でも、それまで考えてもみなかったような、根源的な「嫌なもの」が、しっかりと自分の内奥に存在している確かな予感を感じ、そこで、途方にくれて立ち止まるのである。その瞬間の「怖さ」は比類ない。 (下巻のレビューへ続く)
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「神」と「悪魔」の狭間に・・・,
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レビュー対象商品: カラマーゾフの兄弟〈中〉 (新潮文庫) (文庫)
(上巻のレビューから続く)そしてこの小説の「恐ろしさ」についてである。「哲学」というものは、自分の内面から湧き出てくる感情(愛情とか憎悪などのあらゆる感情)の源泉について、重ねて自らの内面に「質問する」ことによって織り成されると思う。けれど、質問というのは恐ろしいものだ。予期せぬものが起き上がってくる。この小説では、多くの登場人物が、自律的か否かによらず、この「質問」を自らに突きつけねばならなくなる。恐ろしいものが徐々に起き上がり、それを認識してゆく過程が描かれる。 登場人物たちは、この「質問」と「考察」を自らのモノローグだけでなく、他者との会話を行うことでも深く掘り下げていくが、その際、しばしば「鳥肌のたつ」ように恐ろしい瞬間が読み手を襲う。ものすごく深い絶対触れてはいけない核心のようなものが、ふと垣間見える。・・そして「狂」の存在。この小説では、「狂」とその認識についても語られていると思うが、「狂」とは、自分の中の「一種類の根源的な感情」のみによって行動論理が縛られる状態にあることを指すのではないだろうか。つまり誰でも瞬間には狂たりえるのだ。 「狂」は何も無知によって引き起こされるとは限らない。場合によっては、深く自己の内面について思索し、探求した結果、その領域に至ることもある。そこで善なるものが聴こえるはずだというのはカント的だろうか。しかし、それは外面的には「狂」となるかもしれない。この小説は、そんな恐怖を実地検分する怖さがある。登場人物たちが自己を探求するとき(そのようなシーンはしばしばあるが)自分でも、それまで考えてもみなかったような、根源的な「嫌なもの」が、しっかりと自分の内奥に存在している確かな予感を感じ、そこで、途方にくれて立ち止まるのである。その瞬間の「怖さ」は比類ない。 (下巻のレビューへ続く)
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