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ドミートリイ(ミーチャ)、イワン、アリョーシャのカラマーゾフ三兄弟を
始めとする本書の登場人物たち。メダルの表と裏のように、高潔さと低俗さの
両面を併せ持つ彼ら登場人物たちが、歓喜したかと思えば絶望し、この世の
終わりかという位おいおい泣き、鬱憤をぶちまけ、わめく姿に仰天しました。
そして、そんなどうしようもなく矛盾した存在である人間をまるごと受け入れ、
慈愛に満ちた眼差しを彼らに注ぎ、描き出していく作者の筆致に胸が震えました。
上巻、アリョーシャと二等大尉スネギリョフ(イリューシャの父)が、
道を歩きながら対話する場面。
中巻、敬愛するゾシマ長老の死に接したアリョーシャが、長老の幻に出会い、
大地を抱きしめる場面。
下巻、病床のイリューシャを少年たちが見舞う場面。
そうした個々のエピソード的シーンが鮮やかだったこと、印象深かったことも
忘れられません。
しかし何と言っても、本書で最高の読みごたえを感じたのは、下巻、
大詰めの「誤審」の章。父親殺しの嫌疑をかけられたドミートリイ
(ミーチャ)の裁判の章。
前半の検事論告と、後半の弁論の息詰まる攻防戦。
とりわけ、被告の行動に鋭い心理分析を加えていく検事論告が見事。
ミステリのとびっきり面白い法廷シーンを読むような迫力があり、
手に汗握りながら夢中で頁をめくっていきました。
1878年から書き始められ、1880年に完成したドストエフスキー渾身の大作
『カラマーゾフの兄弟』。今読んでもちっとも古さを感じさせません。
キリスト教の神と悪魔の問題など、分かりづらいところもありましたが、
苦しみ、悩む人間たちが実に生き生きと描き出されていたところ、
本当に素晴らしかった。
ベートーヴェンの第九が今も多くの人の胸を打つように、これは
人類の財産とも言うべき作品。
生きてるうちに読むことができて良かった!
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