乾くるみさんの作品と言うと、映像作品には出来ない小説ならではの
手法で驚かされた「イニシエーション・ラブ」と、記憶を持ったまま
過去に戻れる力を手に入れ、人生のやり直しを計る「リピート」と
いった長編の印象が強いですが、本作は探偵物の連作短篇です。
探偵事務所とは言っても、所長・古谷の道楽で開いているような
事務所であり、専門分野は”謎解き”です。変わった依頼に対し、
主人公・井上の視点で古谷が謎を解いていく過程が記されています。
全6話のうち、どれも最初は「説明や雑談が冗長だな〜」と思って
読み進めるのですが、雑談すら伏線になっており、謎のトリックも
手の込んだ内容になっています。
”謎解き”と言っても警察沙汰になるような話ではなく、
依頼者が困っていることを助けてあげるといったストーリーであり、
どのお話も読後感が良いです。
上述の通り、読後感の良い探偵物として読み終えそうになった瞬間、
「そうきたか・・・」というサプライズが待っています。ただし、
このサプライズは決して嫌味なものではなく、読後感を更に
良くする”読者へのご褒美”といった内容です。
本作は現在、続編が作成されているとのこと。一冊の本になる日を
楽しみにしています。