一言で言ってしまえば、「鳥にまつわる楽しい雑学書」である。もともと総合研究開発機構の月刊誌『NIRA』に1985年から連載されたエッセー。
著者は日本野鳥の会の機関誌『野鳥』の編集長、山科鳥類研究書資料室長などを歴任した、筋金入りのバードウォッチャーで、日本野鳥の会には発足当初から関わっていたらしい。その長年の経験を生かして書かれたのが本書。モズの夫婦のつくられ方とか、アオバズクの鳴き声は真似しやすいこととか、興味本位で簡単に読めるような軽い話が多い。一編一編は面白いのだが、全体としての統合性には欠ける。著者本人が認めているように、ひと時代前のバードウォッチャーなのであり、鳥を観察すること自体を楽しむレベルに留まってしまっているのである。バードウォッチャーになるのはどういう人かとか、現代の人と鳥との関わりとか、そういうところにも踏み込んで欲しかった。特に物足りないのは、野生の鳥を保護していくという観点である。著者には、人間によって生息地が開発されたり、都市化が進んだとしても強い鳥は生き残り、弱い鳥は減少していくのだという感覚があるようだ。現在では、それですまない問題になっていると思うのだが、どうだろう。やはり古いバードウォッチャーということなのか。