人間社会と最も近いところで生きている鳥、それがカラスである。あまりにも普通に目にするカラスのことを、私たちはどれくらい知っているのだろう。
この写真集はカラスの生態に着目した図鑑的な解説本ではない。自然界の報道写真家・宮崎学ならではの、カラス目線から見た人間社会の縮図である。
全国津々浦々のカラスの巣を、得意の木登りで撮り貯めたコレクション。卵の色に地域差があることの示唆や、使われた巣材からその地域の人間模様まで見通す洞察の深さに、本書が単なるカラスの写真集で無いことが理解される。
後にも先にも、カラスの巣を集めただけのこんな企画本は、もう出てこないかも知れない。それだけに貴重な1冊となることは間違いない。巣の写真と共に収められたカラス目線からの人間界の風景に、人とカラスの関わりを読み取る楽しみが本書には盛込まれている。