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本書は、世界でもっとも多く作られたAK47突撃銃の運用場面を世界各国の現場からルポしたものである。世界を混沌に陥れる銃。子供でも使える優秀なメンテフリーの個人火器。
設計者カラシニコフや作家フォーサイスへのインタビュー、リドリー・スコット「ブラックホーク・ダウン」の舞台モガディシオも登場し、映画ではあまり描かれなかった民兵の背景が語られている。「失敗した国家は少数の武装勢力で転覆できる」というフォーサイスの指摘は興味深い。アフリカ諸国のいくつかの国旗にはAKのシルエットがデザインされたものがあるが、銃口から生まれた国が今どうなっているか、これまでほとんど報道されなかったのだから、これは非常に良いルポだ。
シエラレオネ、ロシア、ソマリア、赤道ギニア、南アと続いた旅は、ソマリアの隣国ソマリランドで完結する。この国は国連からも認知されていないのに独力でAKを回収し国家建設を進めている。悲惨なルポが続いた後だけに、読んでて目頭が熱くなる話だ。第三世界を舞台にした「ボウリング・フォー・コロンバイン」というか、私はただの銃器マニアですが、読んで良かったです。マニア的な読み応えもあるし。
拉致された少年兵、少女兵、手首狩り、南アフリカ、ソマリア、ナイジェリア…悲惨な現状を感情を抑えて
理にかなった道筋を通りながら丁寧にルポしていきます。こうした悲惨な現状を追ったルポタージュは概して
感情が入りすぎたり、主観的な立場からバイアスのかかったものになってしまったりします。
もちろん、そうした要素がゼロではないかもしれません。しかし、非常に意識して行なわれた落ち着いた取材は
非常に素晴らしいと思います。そして、AKの流通経路、カラシニコフへのインタビュー、明快な基準に
基づく「失敗国家」という定義を紹介し、ODAを単純に行なうことへの警鐘をならすなど、マクロ的な
視点も欠けていません。「朝日新聞」というだけで抵抗がある方も多いでしょう。私の印象なので何も保証できませんが、
上下左右どこにも変な偏りの視点はないように感じます。
文章力に優れ、一気に読み進まされてしまう迫力と臨場感をもち、それでいて主観的になりすぎない
筋の通ったルポタージュは圧巻です。これほどに素晴らしいものは読んだことがありませんでした。
そして、失敗国家、などという定義、現状から、アフリカの窮状、日本の現状、そして東南アジア開発を学ぶ学生
として…様々なことを考えさせられました。この本を買って色々な人にプレゼントしたいと思いました。
著者の方、素晴らしいお仕事をなさったと思います。
アフリカを具体的に知るために有益な本。ページをめくっても、猛獣やサファリやジャングルやピラミッドやヴィクトリア滝やテーブル・マウンテンは、登場しない。この広大な大陸のうち、観光客が行かない/行けない地域の「いま」について、なまの事実に即したリポートを届けてくれる日本語の本は、じつはきわめて少ない。その意味でたいへん貴重。
去る2005年2月13日から、朝日新聞で編集委員・松本仁一氏による「カラシニコフ 第2部」と題する連載が始まった。これに先立って連載された第1部をまとめたのが、本書。
無数の型式のちがいなどについて、マニアなら、えんえんと蘊蓄をかたむけて飽きない、たぶん世界史上もっとも有名なライフル。その開発者と、使用者と、使用による被害者。ルポルタージュは多角的に展開する。上に「アフリカについての本」であるかのように紹介したが、本書の視野は、じつはもっとずっと広い。
松本氏のようなジャーナリストが輩出して、私たちが世界を本当の意味で、すこしでもよく理解するための手助けをしてくれたらありがたい。
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