ドイツの北、ハンブルグの港町で暮らすオス猫・ゾルバ。
太った真っ黒な猫で、とがった鋭い爪が自慢の粋な男。
飼い主一家が旅行に行っている2ヶ月の間、彼はゆっくりと
ひとり暮らしを楽しんでいます。トイレとごはんは近所の人が
一日に一度、面倒を見てくれます。帰り際、「にゃーん」と
鳴きながら、その足に擦り寄れば喜んでくれ、単純なものです。
その日も、ゾルバがベランダでひなたぼっこをしていると、
一羽のカモメが飛んできました。カモメは人間が流した石油の海に
落ち、瀕死の状態です。カモメはゾルバに3つの約束をお願いします。
・これから卵を産むけれど、それを食べないで。
・ひなが生まれるまで、卵のめんどうを見て。
・ひなに飛ぶことを教えて。
最後の力を振り絞って、母さんカモメは白くて青い斑点のある卵を
ひとつ産みました。
この難題に、港町の猫仲間が一致団結して挑みます。長老格の
「大佐」、その「秘書」、物知りの「博士」、船のマスコット猫
「向かい風」など個性的な猫たちが知恵を出し合い、人間の不可解な
行動や、ネズミたちからひなを守り、ひとり立ちさせていく感動の
物語。
シンプルななかにも「異なるものを愛すること」をゾルバが優しく
ひなに教え、「カモメが自ら飛ぼうという自らの決心が大事」と、
それを忍耐強く待つ叡智を湛えた猫たちの姿を描きます。
解説によると、本書は8歳から88歳までの若者の小説と
ヨーロッパでは言われ、ベストセラーになりました。
テンポのいいストーリーティリングと、メッセージ性、
猫たちの愛らしいキャラクターに心あたたまります。