1985年に牧羊社から出た単行本の文庫化。
著者は下着デザイナーとして一世を風靡した人物。エッセイストとしても知られた。
本書は、美食・グルメ本ではない。日々の生活や仕事のなかで食べたもの、身近な友人や知人のつくってくれた料理について書かれたエッセイである。
大阪を住処としていた人で、天王寺や四つ橋の店の話が出てくる(しかし、けっして「大阪らしい」食べものの本ではない)。なんとなくしゃれていて、でも気取ったりはしない。そういう雰囲気の店が多い。これは著者の気質や生き方を反映したものでもあると思う。
そのほか、フランス人の知人から習ったリゾット、自分で漬けるラッキョウ、飼い猫と食べる朝ご飯。
しかし、率直に言って食べものエッセイとしては優れたものではない。料理、食材、味などの記述がとても薄味なのだ。むしろ、著者の人柄を楽しむべき本だろう。