前作「
Rainbow Magic」とは一部制作時期が重なり、高野氏自身双子の関係と発言している新作の登場。原色鮮やかな
ジャケットデザイン、カメレオンの名を冠した作題等、多分に色というものを意識している本作。中に詰まった音楽もカラフ
ルな色が耳から目へと浮かび上がる様だ。
割と素直な音創りをしていた前々作・前作と比べ、かなりアレンジに凝った跡が窺える創り。初聴時はどうしてもそちらに
耳が奪われるが、決してメロディが乏しくなったわけではなく、聴き返す程に味わいを増す良い曲が揃っている。
ことばに関してはドラマチックな状況下では無く、普段私達の身近な世界に溢れるさり気ない一風景の鮮やかさ・美しさを
切り取った表現が目につくのが印象的。
特に前半は彼のポップ職人としての遊び心が窺える楽曲が並ぶ。凝ったリズムループが耳に残る「on the Timeline」、間
奏部にジャズっぽいホーンの旋律を組み入れた「雪どけ」、バーチャルな21世紀の黒船来航事件を昔話を聴かせる様な
メロディ・ラインに乗せて歌うユニークな「kurOFUne」…「遊び」とは言いながら、高野氏の真面目な人柄が細部まで丁寧
に施したアレンジ創りに現れている。
YMO「君に、胸キュン」のカヴァーは割と素直な解釈だが、他の曲で冒険している分もう少し弾けても良い気はした。
淡々と時の移ろいと何気ない休日の美しさを噛み締めるバラード「GLOW」や、旅立つ人の朝の想いを歌う「君住む街へ」
等が連なる終盤は特に素晴らしい。音楽もことばも過度に感傷的な演出はないが、最近頻発する自然災害の連続で疲労
した心には、何気ない日常の素晴らしさ・その中での些細な想いを綴ったこれらの歌が潤いを与え実に心に染み入るのだ。
力作であった前作と比べて決して強度は落ちていない。日々の生活に寄り添い永く愛聴出来る音楽集だと思う。