まず なぜカメは甲羅が脱げないのか でカメの基本を説いたあと,オサガメという名の海の怪物が紹介され,このリアリティで完全にカメのとりこになる.そうして2億3000年の昔の先祖から現生のカメまでの長い複雑な旅が始まる.著者の文章は明解で読み易く,更に現役の専門家ならではの説得力がある.また中生代からの大陸の分布など必要な図が必ず用意されていて理解を助けている.この化石カメ学の部分はまさに圧巻で,著者の実力の程を思い知らせてくれる.最後は人間に食べられて絶滅してゆくカメたちの悲しい話で,そう言えばスッポンのスープはうまいよな,と思いながらもカメが可哀想な気持になる.最近読んだ科学書の中で断然素晴らしい本.これさえあれば,カメのことは殆どすべて判る.強く推薦.