日本における初版は857ページ、35章であり、Kaplan & Sadock's Synopsis of Psychiatryの7版の一部を割愛して翻訳したものであった。かなり読み込んだつもりだったが、常に物足りない感じがあり、ほしい情報が不足していると感じたものである。さらに、1994年のもので、当然ながら最新の情報は記載されていなかった。
今回の第二版はまったく別物である。1525ページ、60章とほぼ2倍の量であり、2003年の第9版の翻訳本である。精神疾患とその説明に終始していた感の強い前版に比べると、今回は“ライフサイクル”“脳と行動”“心理社会学”“人格論と精神病理学”“補完代替医療”“生殖医療”“対人関係の問題”“虐待”“救急精神医学(自殺の節を含む)”“終末期医療”“公衆精神医学”などなどの章が追加されており、ようやく精神科医療の醍醐味の伝わる定番教科書としての形が整ったものと思う。
また、邦訳はされていないが、1600問以上のmultiple-choice questionsからなる“Kaplan & Sadock's Study Guide and Self-Examination Review in Psychiatry”という、このテキストに合わせてつくられた充実した問題集があり、理解の助けになる。