凄いアニメーションです。私はアニメには詳しくありませんが、アニメーションの歴史の中でも最高峰の一本ではないでしょうか。
これももの凄い描線の多さ。しかも、複雑です。すべて手描きなので、変幻自在に細かく位置を変え、画面が微妙に震え、変形します。手持ちカメラでの撮影で、ピントも移動し、2次元的な移動と3次元的な移動が同時に起こる面白さ。「頭山」からさらに進化してまったく見たことがないような映像になっていました。
一コマずつ細かく動く映像は強烈にフィルムを感じさせ、ゆがんだり膨らんだりする人物や建物はドイツ表現主義を連想させます。原作はカフカなので起承転結のある話ではなく、ブラックユーモアといっても笑えないのですが、とにかく絵の素晴らしさに感嘆しているうちに終わってしまったという印象。
山村アニメーションの特徴は手書きの描線の多さと輪郭の揺らぎですが、それがカフカの原作と出会って最大限に生かされていると思います。
山村浩二は「商売は全く考えていない」と言い切っている人で、この作品も商業ベースでは制作は不可能な芸術でしょう。山村浩二にとって「頭山」を超えて代表作となるだけでなく、日本のアニメーションの代表作ともなる大傑作だと思いました。
正直、話はよく分からない部分もありましたが、ストーリーなど全く分からなくても面白いし興奮しますし、感動出来ると思います。こんなアニメーションの表現があったんですね。電子楽器オンド・マルトノによる音楽も素晴らしいです。