波乱に満ちた過去界からの帰還と現在界でのカピン遠征隊との友情が芽生える邂逅を描く大長編SFスペース・オペラ宇宙英雄ローダン・シリーズ第215巻。本巻の執筆者は、活きの良い新鋭クナイフェルと創始者の大御所ダールトンです。ローダン一行は苦難の末に時間旅行を妨害していた聖なる島の破壊に成功する。
『青い塔の土地』ハンス・クナイフェル著:現在時間に戻る為の最後の調整作業を続けるローダン一行に、またもや試練が降り掛かる。謎の六次元放射が襲い、アラスカの顔に宿ったカピンの断片が活性化し彼が姿を消したのだ。必死に後を追うイホ・トロトとツヴィーブスは、やがて放射線を放つ不思議な青い塔に辿り着く。『カピンの最後通牒』クラーク・ダールトン著:過去界から無事に現在界に帰還したローダン一行を待ち受けていたのは、死の衛星が活動を再開し太陽が活性化しているという危険な状況であった。手詰まりになったカピン征隊は自分達を死の衛星から脱出させる宇宙船をテラナーに求める最後通牒を突きつけて来たのだった。
後半でアトラン、グッキーとラス・ツバイがローダンの命を受けて、死の衛星にテレポートして現われますが、ステーションの自己防衛システムが稼動し、カピンたちの意識を肉体から剥奪する残酷な崩壊現象が彼らを襲います。強制ペドトランスファーという現象は物凄くグロテスクで依光隆氏のイラストが身の毛のよだつ恐怖を伝えてくれています。故松谷健二氏久々のあとがきは、また山のお話です。大学同期の老友と年に数度山に入っているが、たまたま行動十時間を越すハードな体験となり、面白かったが反省もされました。呑気な老友の身を心配しつつ緊張の連続で、長年培った勘を頼りにして必死の思いで行動した末に上手くいき、跳び上がりたい程のありがたさを実感されました。日はとっぷりと暮れ黒い山影の上にかかる上弦の宵月を眺め暫し感慨にふけられたとの事です。