「イロモノ」的な扱いをされないで演歌歌手として正当に評価される路線に乗った、そんな安心感を感じながらジェロさんの歌う曲を聴いておりますが、今回の「COVERS 」にはまた新たなジェロさんの「日本を歌い上げる心」を強く感じることが出来ました。
コマーシャルで流されていた「氷雨」の素晴らしさはもちろんですが、ジャズ的にアレンジされながらも冒頭の「宵闇 迫れば 悩みは 果てなし…」で始まる「君恋し」、フランク永井さんの名曲ですがフランクさんが歌える状況ではないであろう現在、この曲をこれだけ素晴らしく歌い上げる事が出来るのはジェロさんならでは、と思います。それは、元々この時代の歌謡曲の根底で流れていたであろう主流の音楽がジャズ、或いはジャジーな音楽であったからです。
「夜空」はドゥービー・ブラザース初期の名曲「ロング・トレイン・カミング」のようなカッティングのアレンジが…どうですかね、少し気になりますが。しかしサビ以降の歌唱力でそれこそ音楽を「カバー」していますね。懐かしい「本牧メルヘン」。「釜山港に帰れ」は想像どおりの出来上がり。
しかし、このアルバムの極めつけ!これは堺正章さんの名曲の一つである「さらば恋人」でしょう。文句のつけようがありません。「さよならと 書いた手紙 テーブルの上に 置いたよ…」…この詩に対するジェロさんの歌い手としての言葉への感情移入、更には堺正章さんを尊敬しながら非常に丁寧に歌う姿勢…「うたごころ」をこのジェロさんから学ばなければならないですね、今の歌手の方々は。
もはや他の方々の曲をカバーしてヒットする時期は既に半年ぐらい前から終わっている、とある新聞の文化欄に書かれていましたが、このジェロさんのアルバムは別格でしょう。お薦めします。