アメリカとカナダの関係について、どうも解せないことがあった。
確か学校では、アメリカの一番の貿易相手国はカナダで、カナダとアメリカの間は自由に行き来できる、と言うようなことを習った記憶がある。また、実際に行って見た範囲では、町並みはよく似ているような気がするし、少なくとも見た目でアメリカ人とカナダ人を区別することはできないように思える。そのうえ、国番号はどちらも1だ。まるで一つの国ではないか。
ところが、2年前からカナダに留学している娘が、カナダ人は皆アメリカ人を嫌っていると言うのである。どうもそのまま信じることはできないが、そう言えば、アメリカの歴史や政治などについては少しは知っているが、カナダの歴史は何も知らないし、恥ずかしながら首相の名前も知らない。
そう思っている最中にこの本を見つけて購入した。
読んで最初に驚いたのは、アメリカとカナダの生い立ちの違いである。漠然と、どちらもイギリスから独立した国と思っていたが、アメリカは自由を求め武力によって独立を勝ち得た国であり、カナダはそれとは180°異なる、親英的な「ロイヤリスト」の国であった。つまり、アメリカはそもそもカナダの脅威であったというのである。
その後、経済的にも軍事的にも依存関係は強くなっていくが、大国アメリカの隣で、独自のアイデンティティ確立しようとするカナダの事情が、少ないページ数の中にわかりやすく整理されている。政治家や学者の著書も適度に紹介されており、これを機にカナダへの興味を深めた読者には、次のステージへの指針となりそうである。
また、カナダの外交の歴史や戦略と対比しながら、日本におけるアメリカ一辺倒の外交姿勢に疑問を投げかけており、単に日本外交を批判するより、はるかにこの問題がわかりやすく提起されている。
カナダに対するもやもやが晴れると同時に、日本外交のあり方について、改めて考える機会になった。