カトリーヌ・ドヌーヴが絶世の美女であるかどうかは措くとして、今なお現役の大御所女優である事は間違いない。
ドヌーヴと言うと、どうしても、ブニュエルの「昼顔」とか、ポランスキーの「反撥」とか暗欝錯乱で幻惑的な美女とのイメージが強い(今BOXに収録されている「ひきしお」も、確かそんな感じの映画だった)。
でも、作品的には限られているけれど、コメディアンヌとしての彼女も、中々のモノである。で、今BOXでは、ドヌーヴの多彩な魅力が味わえるが、イチ押ししたいのが「うず潮」だ。
南米ベネズエラを舞台に、フランス人クラブ歌手ドヌーヴとフランス人謎の男イヴ・モンタン、それにイタリア人、アメリカ人ら多人種が、ボーイ・ミ―ツ・ガール、と言うより、野獣とじゃじゃ馬的に、自由奔放、勝手気ままに入り乱れての一大スラップスティック。イタリア式祝宴から、カリブ海上の孤島でのサプライズまでの序盤の展開が、息もつかせず、実にオカシク、楽しい。
後半は、一転フランスのエスプリ溢れるシチュエーション・コメディに転じる心憎さで、結末の甘さも気にならない。
監督はジャン・ポール・ラプノ―。ドヌーヴと組んだ「城の生活」の優しいユーモア感覚も捨てがたかった。フィリップ・ド・ブロカと並んで、フレンチ・コメディの我が御贔屓監督。当然、ラプノ―脚本、ド・ブロカ監督の手に依る「リオの男」は、マイ・カルト・ムービーなのだ。
犯罪的なのは、当時安直にラブ・ロマンス的売り方を画策したとしか思えないヒドイ邦題。原題は“LE SAUVAGE”、ズバリ「野蛮人」(笑)。モチロン、こちらの方がしっくり来る。
個人的には、当BOXを購入せずとも、今作だけは、是非お薦めしたい作品だ。