題名だけ見ると、日本のローマ・カトリック教会が諸宗教と対話する上での実践的手引きのような印象を受けるが、実際はかなり異なる。
この本は、単純に言えば日本のローマ・カトリック教徒という極少数派の信者が他宗教と触れざるを得ない状況で、どのように振舞えば良いかの規範を示した信徒向けの模範行動集である。
こういう本があること自体、日本のローマ・カトリック教徒が自分の信仰の持ちように自信がないことの証明のような気もするが、信徒にとっては何が許されて、何が問題になるかは重要なのであろう。
ただ、客観的に見てその基準がどこから出てくるのかが良く分からない。
例えば、町会で集める神社の祭りの費用を払うのは社会的な行動とみて払ってもよいことになっている。
一方で、仏教の葬式や法事に参加する場合、仏教の数珠を持っていくのは駄目でロザリオを持っていくように指導している。
ちなみに、焼香して良いかどうかは書かれていなかったりして、微妙に説明が足りていない。
上記の違いが理解できる人間がどこにいるのか良く分からない。
個人的には、数珠なんていう道具でしかないものに拘るより、他宗教の祭祀に利用する費用を負担する方が問題のように見えるのだが。
実際、この本の中では神社で拍手を打ったり、鈴を鳴らしたり、賽銭を入れることは禁止になっている。
さらに面倒なのが、生きている親族がみなキリスト教徒になった場合に、既に亡くなっている親族が他宗教の墓に入っている場合である。
ありていに言えば改葬しろというのだが、ここまで本気で実践する信徒というのがいるのだろうか。
簡単に書かれているが、日本では法律上の規定があって改葬というのはかなり面倒な作業である。別に墓所も準備しなくてはならない。
まあ、他人のことを気にする必要はないのだが、諸宗教との対話の手引きというのなら、もっと積極的な事柄について記載した方が、他の人間が読んでも為になるものになると思うのだが。
一応、日本のローマ・カトリック教徒は、他宗教の儀式に対してどのような態度をとるように指導されているかが分かる資料という価値で★3つとする。
上記の内容に興味がない方は買う必要はない。