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カティンの森 (集英社文庫)
 
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カティンの森 (集英社文庫) [文庫]

アンジェイ ムラルチク , Andrzej Mularczyk , 工藤 幸雄 , 久山 宏一
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 920 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容説明

巨匠アンジェイ・ワイダ監督作品原作!!
第二次大戦初頭、ソ連領カティンの森でのポーランド将校大虐殺事件。その犠牲者の妻と娘をめぐる美しくも悲しい恋物語の中に、戦後ポーランドの陰鬱な空気と蝕まれてゆく精神を巧みに描き出す。

内容(「BOOK」データベースより)

第二次世界大戦中、ソ連の捕虜となったポーランド人将校数千人がソ連内のカティンの森で密かに虐殺された。そのなかに、フィリピンスキ少佐がいた。だが、この事件を知らない少佐の娘ニカは、母と祖母と一緒に少佐の帰還を空しく待ち続けていた。やがて彼女の前にある過去を持った青年が現れる…。美しく悲しいニカの恋の物語と共に、ポーランド史の暗部を巧みに描き出す。

登録情報

  • 文庫: 367ページ
  • 出版社: 集英社 (2009/10/20)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4087605906
  • ISBN-13: 978-4087605907
  • 発売日: 2009/10/20
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 254,091位 (本のベストセラーを見る)
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11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
映画と小説 2010/2/8
形式:文庫
 大学で先生が映画の紹介をされていて、なんとなく気になっていました。
秋になって、岩波ホールで映画が上映されるらしいと知り、本屋で偶然本書を見つけました。購入。
小説を読んで、それから映画を見ました。
 「待つ女性」の物語には、楔のように悲劇の暗示が打ち込まれる。ポーランドが歴史の流れに組み込まれるその瞬間を生きた女性たちの物語は、故に哀しい空気に満ちていて、幻想的ですらあります。それでも小説版は当時を現在と繋ぐわずかな光のようなものを内包していて、どちらかと言えば峻厳というよりは穏やかな空気が流れているように感じます。
 映画が交響楽、小説が室内楽と、巻末にムラルチクの言葉が引用されています。「待つ女性」の視点のみで構成された小説を読んだ後で僕は映画を見ました。だからこの言葉の意味もわかるような気がします。映画のラストシーンの衝撃は、そのままアンジェイ・ワイダ監督の祈りを表しているように感じて。

 岩波ホールの上映期間はもう終わってしまったことと思います。このレビューを書いている時点では、全国で上映中の場所や上映予定の場所があるはずだし、恐らくはいずれDVDなどで発売がされるでしょう。
 小説を読んで、それから映画を見ることを勧めます。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
【母、妻、娘にとっての事件】
何者かが必死に隠蔽を画策しようとも、人間として知らねばならぬ真実がある。その一つがカティンの森事件だ。『カティンの森』(アンジェイ・ムラルチク著、工藤幸雄・久山宏一訳、集英社文庫)は、アンジェイ・ワイダ監督の映画「カティンの森」の原作として書かれた小説である。

第2次世界大戦中、ソ連(現・ロシア)の捕虜となったポーランド人将校、数千人がソ連内のカティンの森で密かに虐殺された。その中にアンジェイ・フィリピンスキ少佐がいた。息子は必ず生きて帰ってくると、ただひたすら待ち続ける母ブシャ。夫の帰還に希望を繋ぎ、その消息を知ろうと必死な妻アンナ。過去に囚われることより、画学生ユルとの恋に生きようとする一人娘ヴェロニカ(愛称ニカ)。アンジェイの手掛かりは、コジェルスク収容所のアンジェイから届いた1939年12月15日付けの1通の手紙だけであり、ブシャとアンナは何度も読み返したため、今や、その全文を暗記してしまっている。

【届けられた手帳】
この3人の前に、1945年、突如、アンジェイの部下であり、カティンの森事件の生き残りであるセリム中尉が大佐に昇進して現れる。「少佐殿は奥さんや娘さんのことをいつも心配しておられた。始終、あなた方の話題ばかり。おかげで、暫くするうちに、私まで奥さんや娘さんのことを本当に存じ上げているような気がし始めて」。セリム大佐は、生前のアンジェイについて語れる唯一の存在だ。「少佐殿は毎日、手帳にメモを取っておられました。重要な出来事は全て。この手帳は少佐殿が心を打ち明ける友でした。寝床で背を丸め、壁で鉛筆の切れ端の芯を尖らせているご様子が目に浮かびます」。若いアンナを見入るセリム、そういうセリムを男性として見まいと努力するアンナ。ニカが「ママ、だって、あの方、ママに夢中なのよ!」と口にした時のアンナの驚きよう。そして、セリムは突然、姿を見せなくなる。アンナのために、危険を冒してアンジェイの最期の真実に迫ろうとして命を落としたのだ。

その後、密かにアンナのもとに届けられたアンジェイの遺品の手帳には、凄惨な状況が綴られていた。「肝臓をやられた。昼夜を分かたぬ寒冷と点呼が原因。血尿が出る。何とか持ち堪えたい。生きるのは己のためだけではない」、「万が一に備え、アンナと母の住所をS中尉に伝えた」、「遂に私の順番が来た。命令書の伝達――『私物を持って集合せよ!』。出発直前、持ち物検査。監視兵らが貴重品を没収。私の万年筆も奪われた。NKVD(内務人民委員部)隊長に抗議した。返答は次のとおり――『おまえらの行く先では、もはや無用の品だ!』。分からない、何が私を待ち受けているのか」、「(夜中の)3時30分、コジェルスク駅より西の方角へ向け出発。寒い。移送は囚人輸送車による。最初に自由が奪い去られた、次には誇りを」、そして、最後のメモは「シューバ(冬外套)没収。所持品検査。ベルト、腕時計も没収。読み取った時計の針は6時30分。この後、どうなる?」。犠牲者たちに黙祷!

【カティンの森事件の真実】
1940年3月5日に下されたソ連共産党政治局の決定により、NKVD(後のKGB)が同年4〜5月にソ連内収容所に抑留されていた戦争捕虜のポーランド人将校1万数千人を虐殺した。これは、ポーランド軍に属する将校の約半数に当たる。犠牲者の遺体はカティン等3カ所に埋められた。彼らは、なぜ虐殺されたのか。第1の理由は、1920〜1921年のポーランド・ソ連戦争でソ連が敗れ、スターリンがポーランド軍人に強い不快感を抱いていたこと。実際、虐殺された捕虜には、この戦争に従軍した者が多く含まれていた。第2は、ポーランド軍のエリートである将校を抹殺することで、ポーランドに指導力消失の真空状態を作り出し、そこへソ連仕込みの連中を送り込もうとしたのである。

1943年4月、ナチス・ドイツが、占領していたカティンの地で、遺体が埋められた穴を発見。1944年1月、カティンを取り戻したソ連が、「1941年秋にドイツが虐殺した」との捏造調査報告書を発表。1945年にポーランドがソ連衛星国となったため、以降はカティンの森事件の真相解明はタブーとなる。1990年、ゴルバチョフ・ソ連大統領が自国の犯行と認め、ポーランドに謝罪。
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12 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ringmoo トップ500レビュアー
形式:文庫
独ソのポーランド侵攻から70年になるそうです。
そのためかこうしてこの本が翻訳され、映画化されたのでしょうか。

第二次世界大戦と言うと、日本に関係しないところではドイツの西部戦線が一番馴染み深いと言うと変ですが、良く知っているのかも知れません。

この本で扱われるのは、ポーランドを巡るドイツとソ連との関係の中での、ポーランド将校の虐殺事件です。

物語の舞台は、ポーランドの古都クラクフです。
そこに住む3人の女性ブシャ、アンナ、ニカは、アンナの夫でニカの父親アンジェイを待ちわびています。
戦争は終わったのにまだ帰ってこない。
アンナとニカは、証拠はないものの死んでいるのではと言う大きな懸念を持っています。
その場所も「カティンの森」。
ソ連関係者は、それをナチスドイツの仕事としていますが、真実はどうも違いそうです。
そして、少しづつもたらされる情報。
しかし、関係者が次々に「消えて」行きます。

戦争における虐殺事件は多々ありますが、これは犯人のすり替えを行い、未来の政治的な目的を達成しようとするものです。
そのこと自体への憤りも大きいのですが、それ以上に、「待つ」女性たちの心理が胸にジーンときます。
私は戦争を知りませんが、銃後の人たちは多かれ少なかれこうした思いを抱いていたのでしょう。

小説そのものの出来以上に、カティン事件というものや、それに翻弄される女性たちに心を打たれました。
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