余り期待しないで読み始めたが 途中から引き込まれた。結果としては大変面白い本だ。
一点目。著者は創業者の二代目である。この手の本は 創業者が書くことが多い中で 既にユニークだ。
創業者が書いていると 思い入れの深さもあり いささか食傷することが多い。一方 本書で感じるのは二代目の いくぶんクールな目である。創業者である父親を「異能の人」と断言し 自分を「普通の人」と断定している部分には正直驚いたくらいだ。その「距離感」が 食傷とはかけ離れた面白さを本書に齎している。誤解を避けるために言いたいが 今の安藤社長も十分にカリスマ的な社長であると聞く。その方にして なお 冷静な視点で 会社と創業者と自分を見つめている部分が本書の興趣である。
二点目。本書は 父と子の話だ。有る意味それに尽きる。
これは著者自身も 本書をそう言いきっている。実際本書の前半で 創業者と著者が繰り広げている「喧嘩」は まさしく親子喧嘩以外の何物でもない。強烈な父親の下で 反抗し対抗しなくてはならない息子の話である と 本書を見直すと 実に普遍性がある。誰が読んでも面白い部分がある。かつ 底に流れる 著者の 父親への愛情が心地よい。父親が亡くなって 数年経って 初めて本書が書けたというニュアンスを最後に著者が述べているが その通りなのだろう。
亡くなった創業者が 本書を読んだらなんというだろうか?著者は それを自答しながら本書を書いたはずだ。どんな答えを著者は得たのだろうか。