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5つ星のうち 5.0
我々は精神病院にいる彼らより自由なのだろうか?, 2007/10/25
ジャック・ニコルソンが初めてアカデミー賞を受賞し70年代を代表する傑作だが、決して爽快で後味の良い映画ではない。舞台が精神病院ということもあるのだろうが、この映画を観終わって映画館を出る時はなんともいえない暗い沈んだ気持ちになった。
本当の自由とはどういうことなのだろうか?我々がこの映画の主人公たちよりも自由に生きていると思っている実社会にだってラチェッド婦長みたいな管理主義者は大勢いるはずだ。だからといってニコルソン演じるマクマーフィみたいな行動をとれるはずもない。
ラストのウィル・サンプソンの行動も、彼のその後が決してハッピィではないであろうことを想像してしまうから、「やった!」という感じの開放感までは得られない。
しかしこの映画を見るたびに、自分たちの置かれている状況や体制について、「これでよいのだろうか?」という思いが心をよぎり、考えさせられる。いつまでも忘れられない作品のひとつです。
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5つ星のうち 5.0
今ではすっかりサイコな役柄が目立つ個性派ブラッド・ダリフの、若き日の名演ぶりを堪能出来る。, 2006/10/25
絶対的権力の、“秩序”ある管理と規律と言うものが、いかに人間性を損ない、個人の自由と尊厳を否定するものかを描いた秀作。ベトナム反戦、アンチ・エスタブリッシュメントのうねりの中で生まれたケン・キージーの原作を、スターリニズムの反発から、新たな社会主義を模索し、自由の萌芽が巻かれたものの、ソビエトの軍事介入で潰えたチェコから亡命してきたミロシュ・フォアマンが映画化。明確なメッセージを持った作品であるが、映画の大ヒットと、アカデミー主要5部門受賞の栄誉は、75年当時のアメリカの世相と、リベラル派の活力を反映している一方、全体主義=共産主義への嫌悪感からもたらされたものだと思う。今作の素晴らしさは、既に、他のレビュアーの方が触れられているので、私は、ジャック・ニコルソンと共に、この映画に毅然とした“感動”を与えた患者たちを称賛したい。今作では、ダニー・デヴィート、クリストファー・ロイド、ヴィンセント・スキャべり(「バットマン・リターンズ」や「ゴースト」にも出ていた一度見たら忘れられない顔立ちの脇役)らがデビューを飾っているが、忘れてはならないのが、ブラッド・ダリフである。ガラスのように毀れやすく、繊細で心優しく弱腰なビリーが、深夜のクリスマス・パーティの乱痴気騒ぎの中で、マクマーフィの愛人に恋心を抱き、大人、即ち、母からの自立を感じていく開放感から、一転、現実世界に戻され、恫喝され、自制を失い、恐怖心から、首謀者がマクマーフィであることを思わず絶叫してしまうまでの見事な演技は、公開当時から、今も鮮明に覚えている。その後、ダリフは、今作での精神的に危うい名演が嵩じて、すっかりサイコでマッドな役柄ばかりが目立つようになってしまったが、またいつの日か、今作の様な「人間ドラマ」で演じて欲しいと思う。
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5つ星のうち 5.0
人間の自由と尊厳とは・・・, 2008/8/28
レビュー対象商品: カッコーの巣の上で [DVD] (DVD)
この作品は一般に名作として知られているので
タイトルだけは知っていましたが、物語自体はほぼ知らず
漠然と「精神病院を舞台にした映画」ということしか知りませんでした。
あるきっかけがあってこの作品を見たのですが
何も話を知らずに見ると最後の結末は本当に信じられないほどショックでした。
J.ニコルソン演じる主人公マクマーフィが
度重なる暴行事件を起こして刑務所から精神病院送りにされ、
(ですがマクマーフィは精神病を患っている訳ではない)
そこで死んだ目をしたような精神病患者達の中、ただ1人
冷徹な婦長をはじめとするこの精神病院のあり方に反発し続けます。
マクマーフィの生き生きとした目や、彼の破天荒な行動は
いつしか他の精神病患者達をも巻き込み
彼らはいつしか病院に縛られず自由に行動するマクマーフィに惹かれ始めます。
この患者達が病院を抜け出して釣りに行くシーンや、
夜中に婦長の目を盗んで盛大なクリスマスパーティをするシーン、
画面が映らないテレビの前でマクマーフィが実況するワールドシリーズに患者達が白熱するシーン。
これらのシーンは本当に患者達の目が生き生きとしていて、
皆子供のようにはしゃいでいて本当に楽しそうで、幸せそうで、
見ているこっちも顔がほころんできます。
ですが・・・
無惨な結末を迎えるラストシーン、そしてエンドロールの時、
これらすべてのシーンが思い出されてきてやりきれない気持ちになり、涙が溢れてきます・・
「精神病」の定義がこの映画の中ではあやふやなのですが
(精神病患者がどういう病気なのかは一切語られずただ漠然と「精神病」と言っているだけ)
こうしたのはおそらく、本当に精神を病んでいるのは
病院側の人間なのではないかと思わせるためなんじゃないでしょうか・・。
「人間の自由と尊厳とは何か」というテーマに
真正面から向き合ったとてもヘヴィーな映画ですが
こんなに素晴らしい映画はもう何年も見ていない気がします。
「戦場のピアニスト」もそうでしたが、
辛くとも何度も見てしまう作品です・・。