1975年のアカデミー賞を総なめにしたということ、そして描かれたテーマも興味深かったので、公開されて早々に映画館に足を運んだ記憶がある。
主人公を演じる ジャック・ニコルソン をはじめ脇を固めるキャストの演技、その豊かな表現力と精神病棟という特異な舞台で展開される波乱に満ちたドラマの魅力にぐいぐいと引き込まれてしまっていた。ラストにいたっては、この上のない爽快な解放感に満たされつつ、深い感動をともなう強烈な印象に包まれて、なかなか席を離れることができなかったことを覚えている。
この作品は、当時高校生だった私にとって、その後の人生観を左右するほど強烈な影響力を持っていた。―― 今も自分自身の「原点」のひとつとして心に刻まれている。
ことさら最後のシーンが秀逸である。
「ロボトミー」で廃人同様にされてしまった主人公を自らの手で「解放」し、格子窓をぶち破って薄明の原野を軽快に疾駆してゆく「盟友」“チーフ”のすがすがしいまでに潔く力強い姿。。。
フーコー流の物言いをすれば、これこそ「近代的理性」パラダイムに基づく「権力」の力 ――「監禁」「収容」という恣意的な「操作」に左右されることのない「狂気」―― 歴史的相対主義の外側に逸脱・遊離してゆく「狂気」の姿であると言えるのではなかろうか。