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文明化を擁護する時によく使われる言葉として「文明化を否定するのなら途上国の立場はどうなる。貧しい国は満足な医療も受けられずに死んでいく人々がいるのだ」というのあがある。(私もそうだ)
だが、医療先進国キューバにおいてはそんな科白はあたらないようだ。
なるほど、ウェイターの態度は悪く、飯はまずいら!しいがここで描かれるキューバの人々はとにかく明るい!人々は幸せらしい。
治安もよいし、若い女の子が実に気軽にヒッチハイクしている姿も描かれるし、女性といえばキューバにおける女性進出はめざましいらしい。技術者の65%、医学生の3分の2は女性なのだそうだ。
そうそう、戸井は、その土地の良し悪しを判断する規範として野良犬が幸せそうかどうかというのを持っているという。キューバの野良犬は幸せそうだったそうだ。(確かに野犬というのは普通食われたり捕獲されたりひき殺されたりするものだ)
本書で描かれるキューバの姿を見てこそ、初めて「ふむ、貧しくとも心が豊かならそれでもいいか」というありきたりな科白も生きてこようというもの。
著者は「キューバは旅するに値する国である」と?うが、一度は行ってみたいと思った。
だとすると本書のデキは悪くないということなのだろう。
ひとりのジャーナリストがキューバとその指導者カストロにひかれ、当地で様々な体験をしながら対面を実現するまでのノンフィクション。
アメリカを通した情報しかわからない私達には時代遅れ、ならず者国家の独裁者にすぎないが実際のカストロは清廉な政治家であり、寝食を忘れ政務に励み、国中を遊説するタフマン。
決して豊かではない、貧しいかもしれない、けれど誰もが平等で医療や教育を無料で保証され、持ち前のラテン気質で楽観的に暮らしている楽園キューバ。あたかも、高度成長を遂げた結果が不平等で矛盾に満ちた社会の到来であった日本のアンチテーゼかもしれない。
著者は時には過度にカストロを礼賛しているが、(「十月」という名前からすると社会主義自体にシンパシーを持つ人間かもしれない)共感せざるを得ないところも多いのが事実で、キューバ入門にはうってつけの本だと思う。
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