カザフスタンの歴史新書。人口1600万あまりと小国ながら、フランスの5倍の国土、内陸ゆえロシア、モンゴル、中国、アフガニスタン、インドなど大国に囲まれ複雑な歴史と文化を持つ。まじめな文体で波乱万丈の物語に抑揚をつけたりせず淡々と描かれるので語り口に面白味はない(とはいえ、北部はロシア経由で西洋文明を享受しつつも南部はイスラム教を始めシャーマニズムの宗教もたくさんあり、まさにシルクロード的な文化の交差点的な文明が今も見られる)。あくまでも自分が日本を脱出してその国で暮らすことを考えた時、気になるのは現在の事情。
カザフスタンと言う国は大陸国ゆえ単一民族国家ではない。いちおうカザフ民族が4割強で一番多いものの、ロシア民族も4割近い。つまり今もって日本のように国家アイデンティティが確立していない。その一方、元素周期表の全ての元素を地下資源として持つ資源大国を武器に今日経済成長著しい。その意味で、21世紀最初の新興国家、中国の次にビジネスの狙い目になることを確認できた。
しかし、内陸国ゆえ寒暖の差が激しく、日本の四季程度で体調を崩すヤワな体力では厳しいかも、と言う面もある。
興味を引くのは、旧ソ連の大気中/地下核実験場だったセミパラチンスクと現在も宇宙飛行機発射台として名高いバイコヌールを抱え、人類の科学の正と負の遺産を両方持つ国であること。時に前者はチェルノブイリに次ぐ被爆体験者の居住する区域であり、日本にとっても重要な知恵を得られるはずだ。一方で日本とのか細い貿易はウラン資源が大半で、非核保有国に対する冒涜的な経済関係にあると言える。あらためてこのことが私のカザフスタンを目指す最大の理由である。