今日、たまたまTVで本作を観た。当初はあのR.レーガン元大統領を主演にしたB級映画の予定だった由だが、配役と脚本を練ったおかげで最高級の一品に仕上がった。一応はリック(H.ボガート)という男を主人公にしたラブロマンスの体裁をしているが、改めて観てレジタンス色が濃い印象を受けた。リックが経営する酒場で「ラ・マルセイエーズ」が鳴り響く場面も印象的だが、特に最後の名場面にそれが活きている。画質も音質も悪いが、映画の持つ魅力をシミジミと感じさせてくれる作品である。特に会話が気が利いている。
「君の瞳に乾杯」(3回出て来る):「サム、あの曲(as times goes by)を演ってよ」
のような有名な台詞は勿論、ちょっとした会話にもナチスへの風刺が籠っていたりして巧い。ストーリー構成や人物設定を凝らせば良いというものではない事を示している。
H.ボガートは見かけはタフで非情だが、実はセンチメンタルで情に脆い男という役所を(脚本にも助けられて)見事に演じている。そして、その本質を見抜いている警察署長ルノー(C.レインズ)が本作の影の主役と言っても良い気骨溢れる演技振り。一方、リックの相手役イルザ(I.バーグマン)はハッキリしない女で、どこまでが真情なのか最後まで分からない。計算で女心の深遠さを浮き彫りにしたならバーグマンの演技は特筆ものだが、結果的にそうなったという感じ。そしてエンディングが出色。"ヴィシー水"のミネラルウォーターを投げ捨てるシーンに続く、次の台詞が飛び抜けて胸に染みる。
「ルイ、これが俺たちの美しい友情の始まりだな」
実は男同士の友情を描いた作品だったという事が分かるのである。そして、ここからが本当の物語の始まりなのである。美しき哉、男の友情。