☆第2次世界大戦真っ只中、フランス領モロッコのカサブランカは、ナチスドイツからアメリカへ亡命する為に逃げて来た避難民であふれていた。そんな土地で酒場を経営しているリック(ハンフリー・ボガート)は、ある日、反ナチスのリーダーとして名高いラズロ(ポール・ヘンリード)から、彼の持つ偽装パスポートを買いたいとの訪問を受けるのだが、実はラズロの妻は、その昔パリでリックと恋愛関係にあったイルザ(イングリッド・バーグマン)だったのだ。そんな2人が再会。男と男の友情とイルザとの愛のはざまに揺れ動くリックは、複雑な想いにさいなまれる…。という、『風と友に去りぬ 』や『我等の生涯の最良の年』等のアメリカン・クラシック名画の代表作に必ずと言っていいほどランクされる、今なお色褪せない、美しくも儚い、オーソドックスなラブ・ストーリー。監督はどんなジャンルでも手際よくこなす、重鎮マイケル・カーティスさん。構成そのものは意外に典型的で、それほど賞讃に値するような部類の作品ではない。しかし、個人的に一番、感銘を受けたのは、嘘偽りのない本物の男と女の愛を繊細に描いている事であり、その憂愁たっぷりの心理葛藤描写はうまい。既に多方面のレビューの皆様が語り尽くしておられるので、説明不要とは思いましたが、やはり、スタンダードの名曲『アズ・タイム・ゴーズ・バイ』のメロディが心地よい雰囲気を醸し出し、作風にエキゾチックな甘美を添えている。主人公は貫禄たっぷりな風格と渋味を兼ね備えた名優ハンフリー・ボガート。かたや、綺麗で知的なエレガンス・ビューティー、イングリッド・バーグマンの洗練された美しさ。この2つの個性が融合した見事な演技合戦は、阿吽の呼吸と言えばよろしいのでしょうか、息がピッタリで、非の打ち所がなく、不純物を含まない清純な大人のドラマならではの醍醐味を堪能させてくれます。なお、本編は1943年度のアカデミー作品賞、監督賞、脚色賞のオスカーを獲得。以下にもアメリカ国民好みの題材ゆえに、当時のアカデミー会員の心を揺さぶった結果だろう。愛国ならぬ、国策映画らしい匂いもプンプン漂うのは、ご愛嬌だろうが、これぞ古き良きアメリカ映画本来の王道を受け継いだ正統のハリウッド映画でゴザイマス!☆。