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数式をほとんど使わずにカオスの本質を正確に読者に伝え、また、読み物としても非常にエキサイティングです。ウォールストリートで多くのビジネスマンが読んでいたというのも分かります。
世の中には複雑な現象がたくさんあります。この本ではそもそもカオスという考え方がどのように生まれたか、カオスを取り扱うにはどのようにしていけばいいのかといった事が、数多くの事象を例示して非常に詳しく書かれています。
特に注目すべき点として、カオスは自然科学の分野から派生した物であるにもかかわらず、この本では難しい数式をほとんど用いていません。電車の中でも気軽に読めるカオスの入門書としても最適です。
カオス理論が出てくる前は、科学者のだれもが、実験中のちょっとした「ブレ」は誤差の範囲として見過ごしてきたという。なので「カオス」というもののことの重大さに気付いた研究者は、事の重大さに気付かない(または気付こうとしない)多くの研究者から初めは異端扱いされていたらしい。だが、世界各地のそうした“異端者”が、有機的にネットワークをつくっていき、しまいには相対論、量子論に続く20世紀最大の発見といわれるまでになったのだ。そうした科学的概念の大きな移り変わりについて、カオス研究者の人間像や発見を軸に描いている。
文庫で500ページ以上と、けっこう分厚い本だ。でも、カオスについて深くつっこんだ内容だからという気はしなかった。むしろ、カオス全般について広く浅く扱っている。難しいことをなるべく読者が理解できるように書かれてあるから、それで分厚くなっているといったほうが正しいだろう。
ただそうはいっても、話を展開するために外せないようなキーワードが何個かあって、それらが何章にも渡って繰り返し出てくる。たとえば「フラクタル」「(ストレンジ・)アトラクタ」「相移転」「境界」「非線形」…などなど。こうしたキーワードは、最後まで出てくるので、出てきた最初に意味を咀嚼しないまま読み進めてしまうと、だんだんと分からなくなってきて、しまいに全体が分からなくなってしまうだろう(カオス的だ)。何度も出てくる言葉がどういう意味か分からなくなったときは、ちょっと面倒だけれど前のページに戻って、もう一度意味を確認してから続きを読んだほうがいいかもしれない。
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