少し古い本だが、実に良く書かれた本であることが、本書を読んだ人にはわかると思います。帯にもありますが、基本的にカウンセリングを受けたいと考えている人も、知りたいと考えている人も、学ぼうと考えている人も、一度は読んでおいて損はない本です。
特に第一部は、カウンセリングのプロセスとして、一つとして同じプロセスを歩まないカウンセリングという方法を出来る限り一般化、普遍化して、その内容を詳しく説明しています。
それは、カウンセラーとクライアントの助走から始まり、インテーク面接から初期、中期、後期を経て、終結までの流れを、実に分かりやすく語っています。そして、いずれの中でも多く語られているのが、ラポール・信頼関係の重要さです。
カウンセリングとは、カウンセラーとクライアントの一対一の一種緊張した、そしてまた別の意味で親和な、そしてまたカウンセラーとしては理性的な立場からの視線を必要とする、特別なコミュニケーションの場です。
その中で、カウンセラーはまずクライアントの主訴を聞くことになります。その際に、カウンセラーはクライアントの主訴の背景や、性格などについても、徐々に情報を収集し、受容や理解を深めるための手段に係わるものとして蓄えておきます。
そういった基本的なことから、インテーク面接の重要性、初期、中期、後期それぞれの問題点、カウンセリング終結における手順など、様々な点についてきちんとした解説を踏まえて、普遍化している点で非常に評価できる著作だと思います。
第二部は、少し専門的になり、恐らくこの著書の前に書かれた「カウンセリングの話」のような、技法に焦点をあてた内容になっています。最も、二部は一部よりもボリュームが少なく、内容的にも技法には多少触れるものの、基本的には統合折衝案についての説明がなされています。ここの部分に付いては、カウンセリングを「受けたい人」が読む必要はないと考えます。第一部だけで十分説明されています。
より、専門的にカウンセリングを学びたい人にとってはこの本は入門書に過ぎません。技法については、前著「カウンセリングの話」を読む必要があるでしょうし、それ以外にも、カウンセリングの教科書的な書籍を読み、勉強する必要があるでしょう。そういう意味ではこの本は導入部、もしくは、勉強した後の、全体的な「振り返り」として読まれるのが良い方法だと思います。