ルイジアナ州の片田舎の一公務員から州知事にまで上り詰めそして破滅したウィリー・スタークを、彼の側近として最後まで目撃し続けた元新聞記者であるジャック・バーデンの目を通して描かれた社会派作品。重厚な作りで非常に見応えがありました。
前半ではウィリー・スタークの演説の場面は明るいのですが、後半に入って彼が闇に染まって行くにつれ演説の背景も闇になっていきます。また彼の用心棒が銃の手入れをする場面が何度か挿入される度に、いやがうえにも結末に対する不安をかき立てられます。幼なじみであり恋人でもあったアン・スタントンとの再邂逅に際して話し合う場面で、何かを拒否するかのように彼女の顔はあくまでも白いベール越しにしか描写されません。そのように、言葉では無く映像で語らせる場面で一歩間違えるとあざといと取りかねない描写が、ぎりぎりのところでバランスを保っており、そのあたりも評価に値します。
ジャック・バーデンの名付け親でもあり幼少時代から愛してくれた人を破滅に追いやってしまうなど決して観ていて楽しい作品ではありませんし、おもぐるしく感じるかもしれませんが、愛、嫉妬、欲望、打算、後悔、誇り、矜持などの人間が人間である限りどうしても逃れきれない感情を横糸として良く作り込まれた秀作です。