著者の豊田正義さんは「独りぼっち、飯島愛」(亡くなられてから出版)の時から
うわさ話のレベルで書かないので、リアリティがあってノンフィクションライターとして
質が高いと記憶していた。(うわさ話のレベルで原稿の文字数を埋めていく著者も多いが)
今回たまたま豊田さんの作品だったが、飯島愛さんの作品以上に、生い立ちから恋愛遍歴
交友関係とその背景、舞台や歌や作品が出来上がるまでの経緯が細かく調べられており
著者の取材力は本当に驚かされた。
著者の感情を文章に入れないところもまた、豊田氏の良さであるような気がする。
いろいろな章があるが、私は著者の本音が一番垣間見えた「おわりに」という章が
一番印象的だった。(ここでようやく著者の主観が見えた)
霊の話、美輪さんの力を純粋に表現して書けば書くほどに、ノンフィクションライターとしての
力量と信頼、質を下げることになるのでは・・・・という葛藤が随所に表現されており
実にリアルな作家の気持ちであると思った。
事実だけを文章にしなければいけないという職業でありながら、確信のとれない霊力や人間力を含めても
どんどん美輪さんに惹かれていく自分を
もう1人のノンフィクション作家の自分が冷静に見極めて
セーブかけようとしている姿も、その葛藤が読者に伝われば伝わるほどに
「美輪さんって本当にすごい人間なんだ」というのが間接的にこちらに伝わってきた。
事件ライターもいいが、私は豊田氏にはまた芸能人のノンフィクションを書いてもらいたいと思う。