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オーバーフローする脳―ワーキングメモリの限界への挑戦
 
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オーバーフローする脳―ワーキングメモリの限界への挑戦 [単行本]

ターケル・クリングバーグ , 苧阪 直行
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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オーバーフローする脳―ワーキングメモリの限界への挑戦 + ワーキングメモリと学習指導―教師のための実践ガイド
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

4万年前のクロマニヨン人とほとんど変わらない脳が、いま、デジタル社会の情報の奔流に立ち向かっている。情報ストレスで、ダメージを受けないのだろうか?脳の処理能力には、どんな限界があるのだろうか?脳の訓練で、限界を超えることができるのだろうか?―。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

苧阪 直行
1946年生まれ。1976年京都大学大学院文学研究科博士課程修了、文学博士(京都大学)。京都大学大学院文学研究科教授、文学研究科長・文学部長、日本学術会議会員などを経て、京都大学特任教授・名誉教授、日本ワーキングメモリ学会会長、日本学術会議「脳と意識」分科会委員長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 258ページ
  • 出版社: 新曜社 (2011/11/6)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4788512610
  • ISBN-13: 978-4788512610
  • 発売日: 2011/11/6
  • 商品の寸法: 19.7 x 13.8 x 2.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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By 糸音 トップ500レビュアー VINE™ メンバー
生物学的には現代人とクロマニヨン人の脳はほとんどかわりない。
では原始時代から激変した現代のデジタル社会では脳のどのような機能を駆使しているのか。
その答えがワーキングメモリである。

ワーキングメモリは第3の記憶とも言われるが一般の人々にはあまりなじみのないのではないか。
数秒間というきわめて限られた時間に情報を保持する能力である。たいしたことのない能力に思えるが、作業を遂行するために重要な能力である。ある作業をしながら(つまりその情報を保持しながら)別の作業をするといった場合にはワーキングメモリがフル稼働する。同時に作業を行うことの多い現代社会においては必須の能力である。現代社会はワーキングメモリの限界に達しているのか?ワーキングメモリは強化できるのか?ワーキングメモリや情報の処理についての様々な脳科学の知見を紹介に止まらず、どのように情報の洪水とつきあっていくのか、現代社会の在り方についても考えをいたすことのできる書である。

いろいろな話題が取り上げられているが、私としては注意の機能にもっとも関心を持った。注意には刺激に駆動された注意とコントロールされた注意の二種があると言うことだ。本書で数多く言及されるがこの二つの注意は全く違う注意である。コンピュータゲームやADHDといった子どもに関する人々で大きな話題になっている領域の問題がこの二種の注意という視点から見るといろいろと理解を助けてくれることを知らされた。注意の維持やコントロールの難しいADHAの子どもも瞬間的に注意を向けるのは意外と上手である。またぼーっとゲームをしていてもしっかりとプレイできていることも刺激駆動とコントロールの違いを考えればきれいに理解できる。多忙を極める人々がADHD風の状態に陥っているというのもその人とのワーキングメモリの限界を超えたためと考えるとわかりやすい。そしてそんなワーキングメモリはどうやらある程度は鍛えることができるようだ。さらに薬物での強化も可能なようだ。私としては瞑想やジャグリングで鍛えるという方向性の方が好みであるが、リタリンが問題となったように薬物によりどれくらい効果的に集中やワーキングメモリが改善できるかがますます注目されてくるのだろう。ぞっとする世界であるが、体も薬物で改良するのだから脳を改良してもなにが悪いと言うことだろうか。

脳の可塑性やフリン効果などを考えると、現代人の脳はクロマニヨン人と生物学的には変わらないが、脳の使い方が変化していっているのだろう。成人のクロマニヨン人を現代に連れてきても適応はできないだろうが、子どものクロマニヨン人なら脳の可塑性によって現代人の子どもと変わらないくらいに適応できるのかもしれない。ワーキングメモリの発達はもちろん、情報の洪水を予期して発達したものではない。別種の目的のために発達した機能がまた別の用途のために使われるのはまさに進化における適応の過程と同様である。獲得形質であるので遺伝はしないが、おそらくこれからの社会の変化は人間のワーキングメモリを強化する方向に進んでいくのではないか。そして限界にいつかは達するのであろう。
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